内視鏡下金属ステント留置術は、膵癌による末端の閉塞性黄疸のある患者に対して現時点で選択すべき介入である。予測生存期間が短い患者では、プラスティックステントを上回る金属ステントの開存性の利益が実現されない可能性がある。このような患者に対しては、至適タイプのステントを明らかにするためにRCTがさらに必要である。
手術不能の膵癌に対して抹消側の胆管閉塞を軽減するために、姑息的内視鏡下ステント留置術または外科的バイパス手術がしばしば必要となる。至適な介入方法は依然として不明である。
手術不能の膵癌患者を対象に、抹消側の胆管閉塞の軽減について手術、内視鏡下金属ステント留置術および内視鏡下プラスティックステント留置術を比較する。
Cochrane Upper Gastrointestinal and Pancreatic Group specialised register、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、EMBASE、CancerLit、Current Concepts DatabaseおよびBIDS(2002年9月~2004年9月まで)の各データベースを検索した。2005年12月および2008年11月に再検索した。
手術不能の膵癌患者を対象に、抹消側の胆管閉塞を軽減させるために施行した手術と内視鏡下ステント留置術を比較、内視鏡下金属ステント留置術と内視鏡下プラスティックステント留置術を比較、ならびに内視鏡下の異なる種類のプラスティックステントと金属ステントを比較しているランダム化比較試験(RCT)。
2名のレビューアが独自に試験の質を評価し、データを抽出した。有害作用に関する情報を試験から収集した。
1,700例を超える膵癌患者を組み入れた29件の試験を含めた。3件の適格な研究はプラスティックステントを手術と比較していた。プラスティックステントを用いた内視鏡下ステント留置術は、手術と比較して合併症リスクが減少したが(RR 0.60、95%CI 0.45~0.81)、死亡前の胆道再閉塞リスクが上昇した(RR 18.59、95%CI 5.33~64.86)。プラスティックステントは、30日死亡率リスクが低い傾向にあった(p=0.07、RR 0.58、95%CI 0.32~1.04)。1件の発表済みの研究は金属ステントを手術と比較しており、金属ステントで費用が少なく、生活の質が良好であることを報告していた。9件の研究は、金属ステントをプラスティックステントと比較していた。金属ステントは、プラスティックステントと比較して、胆道再閉塞リスクが低かった(RR 0.48、95%CI0.38~0.62)。メタアナリシスから、手技の失敗リスク、治療失敗、合併症、30日死亡率に有意差を認めなかった。異なる種類のプラスティックステントをポリエチレンステントと比較した場合、パーフルオロアルコキシ・プラスティックステントのみで優れたアウトカムが1件の試験で示された。逆流防止弁を追加することにより、テフロンステントの開存性が改善した。