原発性硬化性胆道炎に対するD-ペニシラミン

著者の結論: 

原発性硬化性胆道炎の患者へのD-ペニシラミンの使用を支持する、もしくはこれに異議を唱えるに足る十分なエビデンスはない。ランダム化試験以外からは、原発性硬化性胆道炎の患者にD-ペニシラミンの使用を推奨しない。

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背景: 

原発性硬化性胆道炎は胆汁うっ滞性疾患である。D-ペニシラミンは銅濃度を低下させ、免疫調節薬としての可能性があることから、治療選択肢として示唆されている。

目的: 

原発性硬化性胆道炎の患者に対するD-ペニシラミンの有益作用および有害作用を評価する。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register(2005年8月)、コクラン・ライブラリのCochrane Central Register of Controlled Trials(2005年第3号)、MEDLINE(1950~2005年8月)、EMBASE(1980~2005年8月)、Science Citation Index EXPANDED(1945~2005年8月)、および関連性のある論文の参照文献リストを検索して、適格な試験を同定した。試験の著者とD-ペニシラミンの製造で知られている製薬会社にも問い合わせた。

選択基準: 

用量、投与期間および投与経路の如何を問わず、D-ペニシラミンとプラセボ、無介入または他の介入法とを比較したランダム化臨床試験。発表の有無、発表年、言語または盲検化の如何を問わなかった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが試験を選択し、データを抽出し、割りつけ順序の作成、割りつけの隠蔵化、盲検化およびフォローアップの観点から試験方法の品質を評価した。ITT解析による結果を報告した。相対リスク(RR)または重み付け平均差(WMD)とそれぞれの95%信頼区間(CI)でアウトカムを提示した。

主な結果: 

1件のランダム化試験が同定され、本レビューに組み入れた。試験方法の品質は低かった。原発性硬化性胆道炎の患者70名を対象にD-ペニシラミンとプラセボを比較していた。プラセボに比べD-ペニシラミン療法は、死亡率(RR 1.14、95%CI 0.49~2.64)、肝移植(RR 1.11、95%CI 0.39~3.17)、肝臓の組織学的進行(RR 1.17、95%CI 0.79~1.74)および胆管造影所見の悪化(RR 0.87、95%CI 0.43~1.79)に対して有意な効果を示さなかった。血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値(WMD-23.00 U/L;95%CI-30.66~-15.34)には有意な改善が認められたが、血清ビリルビン値(WMD 0.40mg/L;95%CI-0.19~0.99)および血清アルカリホスファターゼ活性(WMD 44.00 U/L;95%CI-37.89~125.89)には改善が認められなかった。D-ペニシラミンの投与を受けた患者には、有害事象が有意に多かった(P=0.013)。

訳注: 

監  訳: 2006.6.23

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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