女性の尿失禁に対する尿道注入療法

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著者の結論: 

入手したエビデンス基盤は、診療の指針とするには依然として不十分である。さらに、プラセボである生理食塩水注入後に、充填剤注入と同等の症状改善を認めたという知見は、あらゆる有益な効果のメカニズムに関して疑問を提起している。シリコン粒子と骨盤底筋トレーニングを比較した1件の小規模試験は、3ヶ月後に利益を示唆したが、これが持続しているのかは不明であり、また、この治療には高いレベルの術後尿閉または排尿痛が伴った。より大幅な症状改善が外科的治療に認められたが、この優位性は推定される高リスクと対峙する必要がある。異なる薬剤を比較する試験から明確な結論を導くことはできなかったが、デキストラノマー/ヒアルロン酸にはより多くの局所副作用が伴い、同剤はこの適応症に対してもはや市販されていない。中部尿道または膀胱頸部注入の優位性を示すにはエビンデスが不十分である。自家脂肪による1件の試験は、尿道周囲注入は時に重篤な副作用を起こす可能性があるという注意を促している。

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背景: 

充填剤の尿道周囲または経尿道的注入は、成人女性の腹圧性尿失禁の治療として用いられている低侵襲外科措置である。

目的: 

尿道周囲または経尿道的注入療法の女性の尿失禁の治癒または改善に対する効果を評価する。

検索方法: 

Cochrane Incontinence Group Specialised Trials Register (2010年11月8日検索)および関連性のある論文の参考文献一覧を検索した。

選択基準: 

治療群の1群以上に尿道周囲または経尿道的注入療法が含まれる、尿失禁治療に関する全てのランダム化または準ランダム化比較試験

データ収集と分析: 

レビューア2名が独自に、各研究方法の質を明確な基準を用いて評価した。データ抽出が独自に行われ、未報告の可能性があるデータに関する確認は治験責任医師に直接要請した。

主な結果: 

重複報告を除き、選択基準を満たした、女性2,004例を対象とする14件の試験(その後出版を見合され、本解析に含めなかった1件を除く)を同定した。入手した限定的なデータは、全て別個の試験に由来したため、メタアナリシスには不適であった。試験は小規模で、概して中等度の質であった。 女性45例を対象に注入療法と保存的療法を比較した1件の試験は、失禁グレードリスク比(RR)0.7、95%信頼区間(CI)0.52~0.94)および生活の質(RR 0.54、95%CI 0.16~0.92)に関して、注入療法による早期利益を示した。自家脂肪の注入とプラセボを比較した別の試験は、安全性に対する懸念から早期に終了された。注入と外科的管理を比較した試験2件では、外科群における有意により良好な客観的治癒が判明したが(RR 4.77、95%CI 1.96~11.64;およびRR 1.69、95%CI 1.02~2.79)、後者の試験データはITT解析を用いた場合に統計学的有意には達しなかった。 試験8件では異なる薬剤を比較しており、結果は全て幅の広い信頼区間を有した。シリコン粒子、カルシウムヒドロキシルアパタイト、エチレンビニルアルコール、炭素球、およびデキストラノマーとヒアルロン酸の混合物は改善をもたらし、これらはコラーゲンよりも有効であることも有効でないことも示されなかった。デキストラノマーとヒアルロン酸の化合物を投与された患者は、注射部位合併症の比率が有意に高いと見られ(ヒアルロン酸化合物で16%に対しコラーゲンではなし;RR 37.78、95%CI 2.34~610)、本製品は現在、市場から撤退している。 尿道周囲注入法と経尿道的注入法の比較では同等のアウトカムが明らかになったが、尿道周囲群では早期の合併症率が高かった(ただし統計学的有意ではない)。女性30例による1件の試験では、中部尿道注入後の患者満足度に、膀胱頸部注入と比較して、弱い(ただし臨床的に意味はない)優位性(データはRevmanの解析には不適)が示されたが、失禁レベルに明らかな異はなかった。

訳注: 

監  訳: 林 啓一,2012.6.19

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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