支持具による脳卒中後の肩関節亜脱臼の予防および治療

著者の結論: 

スリングおよび車椅子用アタッチメントが脳卒中後の肩の亜脱臼を予防し、疼痛を軽減し、機能を改善し、有害作用として拘縮を悪化させるかどうか、結論を下すにはエビデンスが不十分である。ただし若干のエビデンスから、ストラップで肩を固定する介入法は疼痛の発症を遅らせるが、疼痛を軽減せず、機能を改善せず、有害作用として拘縮を悪化させることもないことが示されている。

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背景: 

脳卒中後の肩関節亜脱臼の治療に、スリング、車椅子用アタッチメントおよび装具などの支持具が使用されている。

目的: 

脳卒中後の肩関節亜脱臼の予防、関節窩における上腕骨頭の整復、疼痛の軽減および機能の改善の観点から支持具の効果を検討し、さらに有害作用として拘縮の悪化についても検討する。

検索方法: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(2004年3月22日最終検索)を検索した。加えて、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ、2004年第1号)、MEDLINE(1966~2004年3月)、CINAHL(1982~2004年3月)、EMBASE(1974~2004年3月)およびPhysiotherapy Evidence Database(PEDro、2004年3月)も検索した。会議の議事録をハンドサーチし、論文の著者に問い合わせて、その後追加された情報を求めた。

選択基準: 

次の条件を満たす研究を組み入れた。すなわち、ランダム化試験、準ランダム化試験または比較試験であること、参加者が脳卒中患者であること、介入が支持具であること、亜脱臼、疼痛、機能または拘縮を測定していること。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが、研究方法の質を評価された研究を独立して調査し、(1)支持具と無支持具との比較、(2)2種類の支持具の比較を行った。

主な結果: 

4件の試験(1件はシリング、3件はストラップの試験。参加者142名)が選択基準に適合した。片側スリングと無支持具を比較した1件の試験は、参加者にはいずれも10mmを超える亜脱臼がみられず、肩外旋角度の喪失が30度を超えた参加者は同数であり(Petoオッズ比(OR)=1.00、95%信頼区間(CI)0.1~9.3)、疼痛を訴えた参加者は片側スリング群に多い(Peto OR=8.7、95%CI 1.1~67.1)ことを報告していた。残る3件は、ストラップは疼痛発症を遅延させる効果はある(重み付け平均差(WMD)=14日、95%CI 9.7~17.8)が、疼痛の重症度の軽減(WMD=-0.7cmビジュアル・アナログ・スケール、95%CI-2.0~0.7)および上肢機能の改善(WMD=0.8、95%CI-1.5~3.1)には効果がなく、肩の拘縮の程度には影響がない(WMD=-1.4度、95%CI-10.9~8.1)ことを示していた。

訳注: 

監  訳: 2006.6.23

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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