心血管疾患の予防のための食塩制限指導

著者の結論: 

プライマリケアまたは集団予防プログラムに不適当な集中的介入は、長期試験の期間中に血圧を極わずかに低下させたのみである。全般的集団および高血圧患者対しては、罹病率および死亡率のアウトカムへの効果を評価するために、さらなる検討が必要である。

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背景: 

短期間の血圧上昇にはナトリウム摂取を制限することによって、血圧が低下する。高血圧または正常血圧の患者に対して食塩の摂取を減らす指導による(死亡率、罹病率または血圧に対する)長期的効果は不明である。

目的: 

関連性のあるすべてのランダム化比較試験を用いて、成人に対する食塩制限指導の(死亡率、心血管イベント、血圧、生活の質(QOL)、体重、尿中ナトリウム排泄、他の栄養素、降圧薬の使用に及ぼす)長期的効果を評価する。

検索方法: 

6ヵ月以上におよぶナトリウム摂取制限を目指した健康成人を対象に交絡のないランダム化試験について、コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASE、選択した研究関連するシステマティック・レビューの参考文献を検索した。未発表の研究または欠損研究の追跡を試み、選択したすべての試験の著者に問い合わせた。言語に制約は設けなかった。

選択基準: 

選択の決定は以下の定義に基づいて独自に二重に行った:1)ランダム化が適切、2)普通食群またはコントロール食群があった、3)ナトリウム摂取制限を目的とした介入。4)介入は多因子的アプローチではなかった、5)参加者は小児、急性疾患患者、妊婦、施設収容者ではなかった、6)追跡期間は最低26週間、7)関心のあるアウトカムのいずれかについてのデータが入手可能であった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自に妥当性を判定し、データを抽出した。意見の相違は討議または必要な場合は第三のレビューアによって解決した。ランダム効果モデルによるメタアナリシス、サブグループ化、感度分析およびメタ回帰を行った。

主な結果: 

正常血圧被験者を対象とした3件の試験(2326例)、未治療高血圧被験者を対象とした5件の試験(387例)および治療されている高血圧被験者を対象とした3件の試験(801例)を含めた。追跡期間は6ヵ月から7年であった。大規模で質の高い(したがって最も報知的である)研究では集中的な行動介入が用いられていた。死亡および心血管イベントの定義と報告に整合性はなかった。死亡例は17件のみであり、介入群とコントロール群で等しく分布していた。コントロール群と比較して、低ナトリウム食が指導されていた群で13~60ヵ月の間に収縮期血圧と拡張期血圧が低下しており(収縮期血圧は1.1mmHg、95%CI1.8~0.4、拡張期血圧は0.6mmHg、95%CI1.5~-0.3)、また同様に24時間尿中ナトリウム排泄量も減少していた(35.5mmol/24時間、95%CI47.2~23.9)。ナトリウム摂取量の減少の程度と血圧の変化は関連しなかった。降血薬を使用している患者は、コントロールと比べて、低ナトリウム食によって同様の血圧コントロ-ルを維持しながら降圧薬を高い頻度で中止することができた。

訳注: 

監  訳: 相原 守夫,2008.3.19

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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