原発性硬化性胆管炎に対する胆汁酸

著者の結論: 

原発性硬化性胆管炎の治療における胆汁酸の使用を支持または否定する十分なエビデンスは認められなかった。しかしながら、胆汁酸は、肝に関する生化学検査値の有意な改善につながったと考えられる。したがって、本疾患についていずれかの胆汁酸の使用を推奨するには、さらにランダム化試験が必要である。

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背景: 

原発性硬化性胆管炎は、進行性の慢性胆汁うっ滞性肝疾患で、通常、肝硬変に至る。原発性硬化性胆管炎の治療に対する胆汁酸を評価した研究により、胆汁酸を使用する利益の可能性が示されている。しかしながら、患者の生存や疾患アウトカムに与える影響については立証されていない。

目的: 

原発性硬化性胆管炎患者に対する胆汁酸の効果および有害作用を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register、コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASE、およびScience Citation Index Expandedを原則、当初から2010年10月まで検索した。

選択基準: 

用量または投与期間を問わず、胆汁酸とプラセボ、介入なし、または他の介入とを比較したランダム化比較試験(RCT)とし、盲検性、言語、および出版状況に関係なく対象に含めた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出した。事前に特定した領域について試験バイアスのリスクを評価した。ITT原則に従い、メタアナリシスを実施した。アウトカムを95%信頼区間(CI)と共に相対リスク(RR)または平均差(MD)で表した。

主な結果: 

8件の試験で、ウルソデオキシコール酸とプラセボまたは介入なしを比較した評価が実施されていた(患者592例)。これらの8件のRCTはバイアスのリスク可能性が高かった。治療期間は3ヵ月から6年であった(中央値3年)。これらの試験で用いられたウルソデオキシコール酸の用量は、低用量(10mg/kg体重/日)から高用量(28~30mg/kg体重/日)までの範囲であった。ウルソデオキシコール酸によるリスクの有意な低下は、死亡リスク(RR 1.00、95%CI 0.46~2.20)肝移植、静脈瘤、腹水、脳症を含む治療の失敗(RR 1.22、95% CI 0.91~1.64)、肝の組織学的悪化(RR 0.89、95%CI 0.45~1.74)、または胆管造影法で確認された肝の悪化(RR 0.60、95%CI 0.23~1.57)のいずれにおいても認められなかった。ウルソデオキシコール酸により血清ビリルビン(MD -14.6μmol/L、95%CI -18.7~-10.6)、アルカリホスファターゼ(MD -506IU/L、95%CI -583~-430)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(MD -46IU/L、95%CI -77~-16)、およびガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(MD -260IU/L、95%CI -315~-205)が有意に改善したが、アルブミンは改善しなかった(MD -0.20g/L、95%CI -1.91~1.50)。ウルソデオキシコール酸は安全で、原発性硬化性胆管炎患者での忍容性は良好であった。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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