妊娠中の高血圧に対する入院を伴うか伴わない床上安静

著者の結論: 

妊娠中の高血圧がある女性に対する安静を評価したランダム化試験は少なく、副作用や費用に関する重要な情報は、入手可能な試験から欠落している。1件の小規模試験が、多少の床上安静は重症高血圧や早期産のリスク低下と関連する可能性があることを示唆しているが、これらの知見はより大規模な試験で確認される必要がある。現時点では、臨床実践に明確な指針を提供するにはエビデンスは不十分である。それゆえ、選択権が与えられる場合、特に非制限活動をより多くの女性が好むことから、床上安静を高血圧妊婦に対してルーチンに推奨すべきでない。

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背景: 

妊娠中の高血圧がある女性に対して、妊娠アウトカムを改善するため、入院してまたは入院しないで、床上安静または活動制限が勧められている。しかし活動制限は妊婦の生活に悪影響を及ぼし、費用がかかり、また、血栓塞栓症のリスクを高めることがあるので、このような介入を推奨するには有益性が証明される必要がある。

目的: 

妊娠中の高血圧の一次治療に対する院内あるいは在宅における様々な程度の床上安静が母親および胎児に及ぼす影響を、異なる程度の床上安静の間で、また、ルーチンの活動と比較評価する。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年1月)を検索した。

選択基準: 

妊娠時高血圧がある女性に対する床上安静を評価しているランダム化試験を選択した。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自に試験を評価し、データを抽出した。データをRevManソフトウェアに入力し、二重チェックした。

主な結果: 

4件の小規模試験(449例)を採択した。3件は良好な研究の質を有していた。2件の試験(145例)は、蛋白尿性高血圧がある女性を対象に、院内での厳格な床上安静と多少の安静を比較した。報告されたアウトカムに関して群間差を示すには不十分なエビデンスしかなかった。2件の試験(304例)は、非蛋白尿性高血圧に対する院内での多少の床上安静と在宅での通常の活動を比較した。多少の安静により、正常活動と比較して、重症高血圧のリスクが低下し(1件の試験、218例:相対リスク(RR)0.58、95%信頼区間(CI)0.38~0.89)、早期産のリスクが低下した(1件の試験、218例;RR 0.53、95%CI 0.29~0.99)。将来の妊娠で、選択権が与えられた場合に、同じ管理を受けることを選択しない女性の数は、床上安静群でより多かった(1件の試験、86例;RR 3.00、95%CI 1.43~6.31)。他のアウトカムに関して有意差はなかった。

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