軽度認知症およびアルツハイマー病(Alzheimer's disease :AD)の治療に対するビタミンEの使用

背景

ビタミンEは植物油、脂肪、ナッツ類、種子類など様々な食品に含まれている。いくつかの動物実験および非介入試験では、ビタミンEがADの予防または治療に役立つ可能性があると示唆されている。しかし、ビタミンEは重大な副作用や死亡リスク増大に関連しているというエビデンスもある。本レビューでは、ADによる認知症または記憶や思考に軽度の問題(軽度認知障害、mild cognitive impairment:MCI)がある人に対するビタミンEの影響に関するエビデンスを検討した。MCI患者は認知症の発症リスクが高い。

組み入れた試験

2016年4月までに発表された臨床試験を検索した。これらの試験ではADによる認知症患者またはMCI患者をビタミンEサプリメントまたはプラセボ(偽薬)に無作為に割り付けた。AD患者に対するビタミンEの効果を調べた3件の試験を同定したが、データを抽出できたのは1件の試験(参加者304例)のみであった。MCI患者516例を対象にビタミンEの効果を調べた試験1件のみを同定した。これら2件の試験の質は概ね良好であった。

結果

MCI患者にビタミンEを投与しても、3年間に認知症を発症した患者数は減少しなかった。ビタミンEがMCI患者またはADによる認知症患者の認知機能(学習能力や記憶能力など)を改善させるというエビデンスは得られなかった。1件の試験では、ADによる認知症患者がビタミンEを摂取した結果、プラセボを服用した患者よりも日常生活活動(入浴、着替えなど)の遂行能力に改善が認められた。これらの試験では、ビタミンEを摂取した場合に重大な危険を及ぼすというエビデンスは得られなかったが、有害作用の頻度が極めて高い場合を除き、この種の試験有害作用の調査には適していない。得られた結果はすべて単一試験に由来するものであるため、さらなる研究によって異なる結論が導かれる可能性がある。

結論

限られた結果に基づくと、ビタミンEサプリメントの有益性または有害性を示唆するエビデンスはいずれも得られていない。エビデンスの質は中程度であったため、これらの知見を証明するにはさらなる試験が必要である。ビタミンEの投与量によって効果が異なる可能性がある。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD002854.pub5】

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