月経時痛に対する栄養補助食品

レビューの論点

コクランの著者らは、生理痛(月経困難症)に対する栄養補助食品(例:ビタミン、ミネラル、ハーブ)の効果に関するエビデンスをレビューした。

背景

栄養補助食品は生理痛の治療に使われている。それらの利益と有害性を調査することが重要である。我々は、原発性月経困難症(他の診断関連しない)または続発性月経困難症(子宮内膜症など他の原因と関連する)の女性を対象に、栄養補助食品の有効性について、他のサプリメント、プラセボ、無治療、従来の鎮痛薬(痛み止め)と比較して調べた。エビデンスは2015年3月23日現在のものである。

試験の特性

27件のランダム化比較試験を選択した(女性3101例)。大部分の参加者は、原発性月経困難症の10代後半から20代前半の学生であった。ほとんどの研究がイランで実施された。介入に用いられたのは12種類の薬用ハーブ(カモミール、シナモン、ダマスクローズ、 ディル、フェンネル、フェヌグリーク、ショウガ、グアバ、ルバーブ、ウザラ、バレリアン、ザタリア )、および5つの非ハーブ系サプリメント(魚油、メラトニン、ビタミンB1、ビタミンE、硫酸亜鉛)で、剤形や用量はさまざまであった。栄養補助食品と、他の栄養補助食品、プラセボ、無治療、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を比較した。

主な結果

月経困難症に対する栄養補助食品の有効性を示す質の高いエビデンスはなく、安全性に関するエビデンスは不足していた。しかし、複数の栄養補助食品について、有効性を示す質の低いエビデンスがあった。非常に限定的なエビデンスによって利益の可能性が示唆されたサプリメントは、フェヌグリーク、ショウガ、バレリアン、ザタリア、硫酸亜鉛、魚油、およびビタミンB1であった。

子宮内膜症に続発する月経困難症について、プラセボと比較したメラトニンの効果に関する強固なエビデンスはなかった。

エビデンスの質

すべての比較検討において、エビデンスの質は低い、または極めて低かった。大部分の比較は1件の研究によるものであり、有害作用について報告した研究はほとんどなかった。大部分の比較は1件の研究によるものであり、有害作用について報告した研究はほとんどなかった。

著者の結論: 

月経困難症に対する栄養補助食品の有効性を示す質の高いエビデンスはなく、安全性に関するエビデンスは不足している。しかし、複数のサプリメントについて、有効性を示す質の低いエビデンスがあり、さらなる研究の実施が妥当である。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

月経困難症は辛い月経痛であり、婦人科でよくみられる症状である。従来の治療法は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)や経口避妊薬(OCP)であるが、これらは子宮筋の活動を低下させる(子宮収縮)。別のアプローチとして栄養補助食品が提案されている。本稿では「栄養補助食品」を、ハーブや他の植物、ビタミン、ミネラル、酵素、アミノ酸などを指す用語として使用した。伝統的な漢方は除外した。

目的: 

月経困難症の治療における栄養補助食品の有効性と安全性を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Gynaecology and Fertility Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、AMED、PsycINFO(すべて開始から2015年3月23日まで)、試験登録、および関連性のある論文の文献リストを検索した。

選択基準: 

中等度または重度の原発性または続発性月経困難症に対する栄養補助食品についてのランダム化比較試験(RCT)を選択した。子宮内避妊具を使用する女性についての研究は除外した。対照として、他の栄養補助食品、プラセボ、無治療、従来の鎮痛薬を適格とした。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれに研究を選択し、データを抽出し、選択した試験バイアスのリスクを評価した。主要アウトカムは疼痛強度および有害作用とした。固定効果モデルを用いて二値データのオッズ比(OR)、平均差(MD)、連続的なデータの標準化平均差(SMD)を算出し、95% 信頼区間(CI)を付した。解析に適さないデータは記述的に提示するか、表にして追加した。Grading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation (GRADE)法を用いてエビデンスの質を評価した。

主な結果: 

27件のRCTを選択した(女性3101例)。選択した研究の大多数は、原発性月経困難症がある10代後半から20代前半の学生のコホートに対して実施された。22件の研究がイランで実施され、それ以外は中所得国で実施された。続発性月経困難症について調べた研究は1件のみだった。介入に用いられたのは12種類の薬用ハーブ(ジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla、M recutita、Chamomilla recutita)、シナモン(Cinnamomum zeylanicum、C. verum)、ダマスクローズ(Rosa damascena)、 ディル(Anethum graveolens)、フェンネル(Foeniculum vulgare)、フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum)、ショウガ(Zingiber officinale)、グアバ(Psidium guajava)、ルバーブ(Rheum emodi)、ウザラ (Xysmalobium undulatum)、バレリアン(Valeriana officinalis)、ザタリア (Zataria multiflora)、および5つの非ハーブ系サプリメント(魚油、メラトニン、ビタミンB1、ビタミンE、硫酸亜鉛)で、剤形や用量はさまざまであった。対照は他のサプリメント、プラセボ、無治療、およびNSAIDとした。

すべてのエビデンスの質について、低いまたは極めて低いと判断した。主な研究の限界は、参加者数が非常に少ない、研究方法の報告がない、一貫性がないことによる不正確性であった。大部分の比較は1件の研究によるものであり、有害作用について報告した研究はほとんどなかった。

原発性月経困難症に対する栄養補助食品の有効性

我々は疼痛スコア(すべて視覚的アナログ尺度(VAS) 0 ~ 10点)や疼痛緩和率、もしくはその両方を、治療後の初回追跡調査時に提示した。

サプリメントとプラセボまたは無治療の比較

ビタミンEの有効性を示すエビデンスはなかった(MD 0.00点、95% CI −0.34 ~ 0.34、2件のRCT、女性135例)。

以下について、有効性を示す一貫したエビデンスはなかった。ディル(MD -1.15点、95% CI −2.22 ~ −0.08、1件のRCT、女性46例)、グアバ(MD 0.59点、95% CI −0.13 ~ 1.31、1件のRCT、女性151例)、1件のRCT、女性73例)、フェンネル(MD −0.34点、95% CI −0.74 ~ 0.06、1件のRCT、女性43例)。

以下について、有効性を示す非常に限定的なエビデンスがあった。フェヌグリーク(MD −1.71点、95% CI −2.35 ~ −1.07、1件のRCT、女性101例)、魚油(MD 1.11点、95% CI 0.45 ~ 1.77、1件のRCT、女性120例)、魚油+ビタミンB1(MD −1.21点、95% CI −1.79 ~ −0.63、1件のRCT、女性120例)、ショウガ(MD −1.55点、95% CI −2.43 ~ −0.68、3件のRCT、女性266例: OR 5.44、95% CI 1.80 ~ 16.46、1件のRCT、女性69例)、バレリアン(MD −0.76点、95% CI −1.44 ~ −0.08、1件のRCT、女性100例)、ビタミンB1単独(MD −2.70点、95% CI −3.32 ~ −2.08、1件のRCT、女性120例)、ザタリア(OR 6.66、95% CI 2.66 ~ 16.72、1件のRCT、女性99例)、硫酸亜鉛(MD −0.95点、95% CI −1.54 ~ −0.36、1件のRCT、女性99例)。

カモミールおよびシナモンと、プラセボの比較に関するデータは、解析に適さなかった。

サプリメントとNSAIDSの比較

以下について、NSAIDとのを示すエビデンスはなかった。ディル(MD 0.13点、95% CI −1.01 ~ 1.27、1件のRCT、女性47例)、フェンネル(MD −0.70点、95% CI −1.81 ~ 0.41、1件のRCT、女性59例)、グアバ(MD 1.19点、95% CI 0.42 ~ 1.96、1件のRCT、女性155例)、ルバーブ(MD −0.20点、95% CI −0.44 ~ 0.04、1件のRCT、女性45例)、バレリアン(MD 0.62点、95% CI 0.03 ~ 1.21、1件のRCT、女性99例)。

ダマスクローズとNSAIDを示す一貫したエビデンスはなかった(MD −0.15点、95% CI −0.55 ~ 0.25、1件のRCT、女性92例)。

カモミールはNSAIDよりも有効であることが示されたが、極めて限定的なエビデンスであった(MD −1.42点、95% CI −1.69 ~ −1.15、1件のRCT、女性160例)。

栄養補助食品と他の栄養補助食品の比較

ショウガと硫酸亜鉛について、有効性のを示すエビデンスはなかった(MD 0.02点、95% CI −0.58 ~ 0.62、1件のRCT、女性101例)。ビタミンB1は魚油よりも有効な可能性がある(MD −1.59点、95% CI −2.25 ~ −0.93、1件のRCT、女性120 例)。

続発性月経困難症に対する栄養補助食品の有効性

子宮内膜症に続発する月経困難症について、プラセボと比較したメラトニンの効果に関する強固なエビデンスはなかった(データは解析に適さなかった)。

栄養補助食品の安全性

選択した27件の研究のうち、両治療群の有害作用を報告したのは4件だけであった。両群間のを示すエビデンスはなかったが、データが乏しく、安全性についての結論を出すことはできなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.17]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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