脳卒中後の回復改善に対するアンフェタミン類

著者の結論: 

現時点では、アンフェタミン治療が脳卒中からの回復に与える効果についての決定的な結論を導きだすには、検討されている患者が余りに少ない。運動機能に関する利益ならびに有意ではない死亡リスクの上昇傾向が示唆されているが、このことはこれらの試験における予後変数の不均衡あるいはその他のバイアス関連している可能性がある。従って、さらなる研究を重ねることが妥当と考える。

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背景: 

動物研究は、アンフェタミン類による治療によって局所脳虚血後の回復が改善することを示している。その効果がヒトにおいても同様であれば、アンフェタミン治療は脳卒中からの回復に大きなインパクトを与える可能性がある。

目的: 

脳卒中患者におけるアンフェタミン治療効果を評価する。

検索方法: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(最終検索日は2006年1月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2006年第1号)、MEDLINE(1966年~2006年1月)、EMBASE(1980年~2006年1月)、CINAHL(1982年~2006年1月)、CINAHL(1982年~2006年1月)、Science Citation Index(1992年~2005年3月)および現在進行中の登録された試験を検索した。また、関連するすべての論文およびレビューの参考文献リストもチェックし、本分野の研究者に問い合わせた。

選択基準: 

アンフェタミンとプラセボを比較している交絡のないランダム化試験

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に対象とする試験を選択し、試験の質を評価した。1名がデータを抽出した。

主な結果: 

患者287例を含む10件の研究を対象とした。しかし、今回のレビューで調べた各アウトカムについてのデータがすべての試験から得たわけではない。試験の質は様々であったが、概して高かった。3件の試験(患者106例)に基づくと、アンフェタミン治療により死亡または自立障害が減少することを示すエビデンスはなかった(Petoのオッズ比(Peto OR) 1.5、95%信頼区間(CI)0.6~3.3)。ベースライン時に、より重篤な脳卒中がアンフェタミンに割り付けられたことによる不均衡が、追跡終了時にアンフェタミンに割り付けられた患者での死亡が多い傾向の原因と思われる(Peto OR 2.8、95% CI 0.9~8.6)。2件の試験(患者73例)に基づくと、収縮期血圧(重み付け平均差8.4mmHg、95% CI 1.6~15.2)および拡張期血圧(重み付け平均差4.9mmHg、95% CI 1.1~8.8)、ならびに心拍数(重み付け平均差10.6bpm、95% CI 3.3~17.8)がアンフェタミンに割り付けられた患者で上昇した。6件の研究(患者176例)に基づくと、ベースラインから追跡終了時までに運動機能の良好な相対的変化を示すエビデンスがあった(重み付け平均差-6.1ポイント;95% CI -10.4~-1.9)。解析方法が異なれば結果は異なることから、その結果の解釈は慎重に行う必要がある。

訳注: 

監  訳: 2007.3.30

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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