原発性胆汁性肝硬変に対するウルソデオキシコール酸

原発性胆汁性肝硬変はまれな疾患で、主に中年女性が罹患する進行が緩慢な自己免疫疾患です。本疾患の原因は不明です。この30年の間に原発性胆汁性肝硬変の有病率は大幅に上昇しています。原発性胆汁性肝硬変は現在、高頻度に肝関連の罹患原因となっており、患者は肝移植など医療資源を高頻度に用います。 ウルソデオキシコール酸は、原発性胆汁性肝硬変に対し米国食品医薬品局が承認した唯一の薬剤ですが、ウルソデオキシコール酸の効果については依然として異論があります。本レビューではエビデンスを更新し、原発性胆汁性肝硬変患者に対するウルソデオキシコール酸の有効性および有害性を再評価します。本レビューには患者総数わずか1,447名を含む16件のランダム化臨床試験が組み入れられています。主要アウトカムは、総死亡率、総死亡率または肝移植、有害事象およびクォリティオブライフです。ウルソデオキシコール酸投与は肝生化学検査値、黄疸および組織学的進行の低下を示していますが、本レビューでは総死亡率、総死亡率または肝移植、または症状(掻痒および疲労)に対するウルソデオキシコール酸の利点を実証することはできませんでした。ウルソデオキシコール酸の使用には費用がかかり、有害事象を引き起こす可能性があります。1件を除く全試験バイアスリスクが高く、試験はアウトカムの選択的報告をしているものと思われます。

著者の結論: 

本システマティック・レビューは、原発性胆汁性肝硬変患者の総死亡率、総死亡率または肝移植、掻痒または疲労に対するウルソデオキシコール酸の有意な効果を実証しなかった。ウルソデオキシコール酸は、肝臓の生化学検査の指標および組織学的進行において対照群より有益な効果を示すものと思われた。1件を除き組み入れた全試験が、高バイアスリスクを示し、アウトカム報告のバイアスリスクおよびランダムエラーのリスクが存在する。低バイアスリスクおよびランダムエラー低リスクで原発性胆汁性肝硬変に対するウルソデオキシコール酸投与の効果を検討するランタダム化比較試験の実施が必要である。

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背景: 

ウルソデオキシコール酸は、病因不明の慢性の進行性、炎症性、自己免疫性肝疾患である原発性胆汁性肝硬変患者に対し投与する。その効果には論議があるが、米国食品薬品局は原発性胆汁性肝硬変に対する本薬剤の投与を承認した。

目的: 

原発性胆汁性肝硬変患者に対するウルソデオキシコール酸の効果および有害性を評価する。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register、コクラン・ライブラリのCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、Science Citation Index Expanded、LILACS、Clinicaltrials.govおよびWHO(世界保健機関)International Clinical Trials Registry Platformを検索した。 2012年1月まで文献検索を実施した。

選択基準: 

原発性胆汁性肝硬変患者に対するウルソデオキシコール酸投与の効果および有害性をプラセボ投与または「無介入」と比較・評価するランダム化比較試験

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出した。平均差(MD)および標準化平均差(SMD)を用いて連続データを分析した。リスク比(RR)を用いて二値データを分析した。ランダム効果モデルおよび固定効果モデルを用い、95%信頼区間(CI)でメタアナリシスを実施した。ランダム効果モデルのメタ回帰分析により、全試験を通し共変量の効果を評価した。試験の逐次解析を用い、ランダムエラーのリスク(偶然の動き)を評価した。コクラン法のバイアス領域に従い、組み入れた試験バイアスリスク(システマティックエラー)を評価した。

主な結果: 

原発性胆汁性肝硬変患者1,447名を含む16件のランダム化臨床試験を組み入れた。1件の試験バイアスリスクは低かったが、残り15件の試験バイアスリスクは高かった。14件の試験は、ウルソデオキシコール酸とプラセボを比較する試験で、2件はウルソデオキシコール酸と「無介入」を比較する試験であった。ベースライン時の進行原発性胆汁性肝硬変患者の割合は15%~83%で中央値が51%であった。試験期間は3ヵ月~92ヵ月で、中央値は24ヵ月であった。試験の結果、ウルソデオキシコール酸とプラセボまたは「無介入」との間に、総死亡率[45/699(6.4%)対46/692(6.6%)、RR 0.97、95%CI 0.67~1.42、I<sup>2</sup> = 0%、14件の試験]、総死亡率または肝移植[86/713(12.1%)対89/706(12.6%)、RR 0.96、95%CI 0.74~1.25、I<sup>2</sup> = 15%、15件の試験]、重篤な有害事象[(94/695(13.5%)対107/687(15.6%)、RR 0.87、95%CI 0.68~1.12、I<sup>2</sup> = 23%、14件の試験]または非重篤な有害事象[27/643(4.2%)対18/634(2.8%)、RR 1.46、95%CI 0.83~2.56、I<sup>2</sup> = 0%、12件の試験]に有意を認めなかった。ランダム効果モデルのメタ回帰分析により、試験バイアスリスク、参加時の患者の疾患重症度、ウルソデオキシコール酸用量および試験期間は、総死亡率または、総死亡率または肝移植に対する介入効果との間に有意な関連を認めないことが明らかにされた。ウルソデオキシコール酸は、掻痒患者数[168/321(52.3%)対166/309(53.7%)、RR 0.96、95%CI 0.84~1.09、I<sup>2</sup> = 0%、6件の試験]または疲労患者数[170/252(64.9%)対174/244(71.3%)、RR 0.90、95%CI 0.81~1.00、I<sup>2</sup> = 62%、4件の試験]に影響を与えなかった。2件の試験で、黄疸患者数が報告され、固定効果メタアナリシスでウルソデオキシコール酸投与はプラセボ投与または無介入より有意な効果を示した[5/99(5.1%)対15/99(15.2%)、RR 0.35、95%CI 0.14~0.90、I<sup>2</sup> = 51%、2件の試験]。ランダム効果のメタアナリシスは結果を裏づけるものではなかった(RR 0.56、95%CI 0.06~4.95)。門脈圧、静脈瘤、静脈瘤出血、腹水および肝性脳症は、ウルソデオキシコール酸投与による有意な影響を受けなかった。ウルソデオキシコール酸投与ではプラセボ投与または無介入より、血清中ビリルビン濃度(MD -8.69 μmol/L、95%CI -13.90~-3.48、I<sup>2</sup> = 0%、患者881名、9件の試験)および血清アルカリホスファターゼ活性(MD -257.09 U/L、95%CI -306.25~-207.92、I<sup>2</sup> = 0%、患者754名、 9件の試験)が有意に低下した。上記結果は試験の逐次解析により裏づけられた。ウルソデオキシコール酸はまた、血清中のガンマグルタミルトランスフェラーゼ/アミノトランスフェラーゼ/総コレステロールおよび血漿中免疫グロブリンM濃度を改善すると思われた。ウルソデオキシコール酸は組織学的段階の悪化に対し有効性を示すものと思われた[ランダム化、66/281(23.5%)対103/270(38.2%)、RR 0.62、95%CI 0.44~0.88、I<sup>2</sup> = 35%、7件の試験)。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博, 2014.3.14

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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