神経遮断薬誘導性の遅発性ジスキネジアに対するビタミンE

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長期間に渡る抗精神薬の投与は、顔面や口に現れることの多い反復性運動の原因となる可能性がある。これらは醜いものであり、薬剤を減量または変更しても必ずしも治まるとは限らない。ビタミンEは、これらの運動障害の治療薬として評価されてきたが、これまでのところ、有効性は少なく、悪化の抑止も限られている。

著者の結論: 

限定的な質の小規模試験から、ビタミンEがTD悪化を予防する可能性が示唆される。一度発症した、外観が損なわれるような問題ある症状がビタミンEによって改善されることを示すエビデンスはない。この研究中の分野において、新規かつ優れた試験が必要であるが、TDに対して行われてきた多くの補助的治療のうち、ビタミンEは今後評価する上で適した選択肢となるであろう。

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背景: 

抗精神(神経遮断)薬は、慢性精神疾患患者の治療に広く使用されている。しかし、同薬の投与は、遅発性ジスキネジア(TD:口や顔の周囲の反復性不随意運動として現れることのある障害)などの運動障害を含む有害事象を伴う。ビタミンEは、TDの予防や低減のための治療として提案されてきた。

目的: 

精神遮断薬誘導性TDも発症した統合失調症患者やその他の慢性精神疾患患者に対するビタミンEの影響を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Schizophrenia Group Trials Register(2010年3月)を検索し、さらなる試験のためにすべての特定済み試験の参考文献を参照し、追加情報のために試験の著者に連絡を取った。

選択基準: 

精神遮断薬誘導性TDや統合失調症を伴う患者のうち、ビタミンE、プラセボまたは介入なしのいずれかにランダムに割り付けられた患者を組み入れた比較対照試験であった場合、その報告書を対象とした。

データ収集と分析: 

これらの試験からデータをそれぞれ抽出し、リスク比(RR)や平均差(MD)を95%信頼区間(CI)と共に推定した。試験から脱落した患者は改善なしと判定した。

主な結果: 

本レビューでは、報告内容が不十分な11件のランダム化試験(計427例)を対象とした。「臨床的に重要なTDの改善」というアウトカムについて、ビタミンEとプラセボとの間に明確なは認められなかった(6試験、256例、RR 0.95、CI 0.89〜1.02)。「TD症状の何らかの改善」というアウトカムについても、両群間に明確なは認められなかった(7試験、311例、RR 0.86、CI 0.75〜1.00)。しかし、プラセボに割り付けられた患者では、ビタミンEを投与された患者と比較して症状が悪化した(5試験、98例、RR 0.38、CI 0.16〜0.9)。有害事象の発生率(9試験、203例、RR 1.29、CI 0.51〜3.24)や試験早期脱落(中期6試験、173例、RR 1.29、CI 0.72〜2.3)には認められなかった。TD初期発症の患者に対するビタミンEの影響に関する試験関連の情報はなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2017.11.11]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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