急性虚血性脳卒中に対する副腎皮質ステロイド

著者の結論: 

急性虚血性脳卒中が疑われる人に対するステロイド投与を評価するには、エビデンスが不十分である。前回の更新以降、結論に変更はない。

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背景: 

脳卒中のほとんどは脳梗塞が原因である。虚血脳組織では、細胞毒性浮腫が発現しやすく、血液脳関門が障害されると、血管原性浮腫が起こる可能性がある。大梗塞は、生命を脅かす巨大浮腫を引き起こす可能性がある。理論的には、副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)による早期治療は、細胞毒性浮腫および血管原性浮腫の低減に役立ち、脳卒中後の臨床アウトカムを改善する可能性がある。

目的: 

急性虚血性脳卒中が疑われる症例において、ステロイドの効果を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Stroke Group Trials Registerを検索した(最終検索日:2011年2月17日)。

選択基準: 

急性虚血性脳卒中(疑いまたは確定)がある人を対象として、ステロイドをプラセボまたはコントロール群と比較した発表済みのランダム化試験。脳卒中発症から48時間以内に投与が開始され、臨床アウトカムが評価されている試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に選択基準を適用し、試験の質を評価し、データを抽出した。

主な結果: 

466例に関する8件の試験を選択した。バイアスに関連すると考えられる試験の質に関する詳細がほとんどの試験において得られなかった。1年以内の死亡オッズに差は認められなかった(オッズ比0.87、95%信頼区間0.57~1.34)。生存者の機能的アウトカムは、投与により改善されないと考えられた。7件の試験で神経障害が報告されていたが、共通尺度や時間間隔が異なっていたため、データは統合不能であった。結果は試験間で一致していなかった。報告された唯一の有害作用は、両群ともに少数の消化管出血、感染および高血糖の悪化のみであった。前回の更新以降、結果に変更はない。

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