母体高血圧または胎児発育不全に対する出産前腹壁減圧法

腹壁減圧法は、疼痛緩和法として、分娩中の子宮収縮の際の子宮血流と子宮の前壁運動を増大させるために最初に用いられた。腹部周囲を固いドームで覆い、腹部周囲の空間を1分につき15~30秒、-50~-100 mmHgまで30分間1日1~3回、または分娩中持続的に減圧する。胎児の健康状態が改善すると考えられる所見により、妊娠合併症に対する検討が開始された。

医学文献検索から、妊婦356名の3件のランダム化比較試験が同定され、すべて重大な方法論的限界を含んでいる可能性があった。研究は1967~1973年に報告されていた。1件の研究は、妊娠高血圧腎症、本態性高血圧、または慢性腎炎の女性を対象としていた。他の2件の試験は、在胎週数に比して小さい胎児の妊婦を腹壁減圧法または無減圧法に割り付けていた。

腹壁減圧法は、妊娠高血圧腎症の進行に対し有益な効果があるようであった。また、この1件の試験では、腹壁減圧法群において分娩中の胎児機能不全が少なく、1分後のアプガースコアが低い出生児が少なかったと報告された。3件の研究すべてで出生体重と周産期死亡の大きな改善が明らかであったことから、方法論的に健全な比較試験により、胎児発育不全および妊娠高血圧腎症の疑いのある女性での腹壁減圧法をさらに評価する必要性は十分明らかである。上記の方法論的欠陥のため、現在の試験に基づいて腹壁減圧法の臨床での使用を支持することはできない。

著者の結論: 

研究の方法論的限界により、治療的腹壁減圧法の効果は明らかではなかった。出生体重および周産期死亡率の改善が明らかであったことから、胎児発育不全および妊娠高血圧腎症の疑いがある妊婦の腹壁減圧法について、さらに評価を行う必要がある。

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背景: 

腹壁減圧法は分娩中の疼痛緩和法として開発された。妊娠中の合併症に対しても使用されており、健康な妊婦において、胎児の健康状態および知的発達の改善を目的として使用される。

目的: 

本レビューの目的は、母体高血圧または胎児発育不全に対する出産前腹壁減圧法が周産期アウトカムに及ぼす効果を評価することであった。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年2月2日)を検索した。

選択基準: 

妊娠高血圧腎症の女性および/または胎児の状態が不良と思われる場合に、腹壁減圧法を無減圧法と比較しているランダム化または準ランダム化試験

データ収集と分析: 

1名のレビューアが適格性および試験の質を評価した。

主な結果: 

3件の研究を選択したが、すべて重大なバイアスを含んでいる可能性があった。治療的腹壁減圧法は以下の事項の減少に関連していた:持続的妊娠高血圧腎症(相対リスク0.36、95%信頼区間0.18~0.72)、分娩時の胎児機能不全(相対リスク0.37、95%信頼区間0.19~0.71)、低出生体重(相対リスク0.50、95%信頼区間0.40~0.63)、1分後アプガースコア6点未満(相対リスク0.26、95%信頼区間0.12~0.56)、周産期死亡率(相対リスク0.39、95%信頼区間0.22~0.71)。

訳注: 

《実施組織》江藤宏美監訳 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。[2012.10.31]
《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD000004》

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