インターロイキン‐1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬は、COVID-19の治療に有効であり、望ましくない影響を引き起こすことはないか?

要点

- 全体として、インターロイキン-1(免疫反応に関与するタンパク質)を阻害する薬がCOVID-19の人に有効な治療法かどうか、または、望ましくない影響を引き起こすかどうかを示す十分なエビデンスは見つからなかった。

- 結果が公表されていない16件の研究が見つかった。新しいデータが入手できたら、このレビューを更新する予定である。

- 今後、COVID-19の治療におけるインターロイキン-1を阻害する薬を評価するためには、質の高い研究が必要である。

インターロイキン‐1とは何か、また、COVID-19におけるインターロイキン‐1の役割は何か?

インターロイキン-1(IL-1)は、サイトカインと呼ばれるタンパク質の一種で、体の免疫システムを調整する働きがある。特に、IL-1は感染症に対抗するために炎症を誘発する。COVID-19においては、免疫系がウイルスと闘うために、肺や気道に炎症を起こし、呼吸困難を引き起こす。一部の人では、免疫系が過剰に反応し(「サイトカインストーム」と呼ばれる)、危険なほど高いレベルの炎症や組織の損傷を引き起こすことがある。その結果、重度の呼吸困難、臓器不全、死に至ることがある。

インターロイキン‐1「阻害薬(ブロッカー)」とは何か?

IL-1阻害薬は、IL-1から免疫系の他の部分へのシグナルを遮断することで、IL-1の働きを止める薬である。これにより、炎症が抑えられ、免疫系がCOVID-19と闘うのに役立つと考えられる。その結果、人工呼吸器(患者の呼吸を人工的に補助する機械)を使う必要性が減り、COVID-19による死亡者数が減少する可能性がある。IL-1阻害薬には、アナキンラ、カナキヌマブ、リロナセプトの3種類がある。

何を知りたかったのか?

IL-1阻害薬がCOVID-19の患者に有効な治療法であるかどうかを、標準治療のみの場合やプラセボ(試験中の薬と同じように見えるが、有効な成分が入っていないダミーの治療法)と比較して検証した。特に、下記におけるIL-1阻害薬の効果に焦点をおいた。

- 症状が良くなったか悪くなったか;

- 何人の人が亡くなったのか;

- すべての望ましくない影響と重篤な望ましくない影響。

何をしたのか?

COVID-19の人を治療するためのIL-1阻害薬の効果を、標準治療のみまたはプラセボと比較して評価した研究を検索した。重症度(軽度、中等度、重度)に関わらずCOVID-19の疑いがある、あるいはCOVID-19であると診断された人を、年齢や性別を問わず対象とした。

研究の結果を比較してまとめ、研究方法や規模などの要因から、エビデンスに対する確実性を評価した。

何がわかったのか?

2132人を対象とした6件の研究を特定した。アナキンラを対象とした研究が4件(1,633人)、カナキヌマブを対象とした研究が2件(499人)であった。調査対象者の年齢は平均58歳から68歳で、男性が大半を占めていた。研究対象者は全員、主に中等度から重度のCOVID-19で入院していた。研究の規模は、45人から2,253人とさまざまであった。試験開始時、67%から100%の人が酸素吸入をしており、0%から33%の人が人工呼吸器を使用していた。

また、まだ結果が発表されていない研究が16件見つかった。

COVID-19患者の治療において、アナキンラと通常ケアおよびプラセボとの比較

- アナキンラはおそらく、治療後28日目のCOVID-19の症状を改善する(臨床スケールでの改善または退院と定義)効果がほとんど、または、全くないが(3件の研究、837人)、60日目に違いが出るかどうかはわからない(1件の研究、115人)。

- 治療後28日目(2件の研究、722人)、60日目(4件の研究、1,633人)の死亡者数にアナキンラが差をつけるかどうかはわからない。

- アナキンラはおそらく、投与後28日時点ではあらゆる望ましくない影響をほとんど、または、全く増加させないが、重篤な望ましくない影響については不明である(2件の研究、722名)。

COVID-19患者の治療において、カナキヌマブと通常ケアおよびプラセボとの比較

- カナキヌマブはおそらく、治療後28日目にCOVID-19の症状を改善する(臨床スケールでの改善または退院と定義)効果がほとんど、または、全くない(2件の研究、499人)。

- 治療後28日目(2件の研究、499人)または60日目(1件の研究、45人)の死亡数にカナキヌマブが差をつけるかどうかは分からない。

- カナキヌマブはおそらく、望ましくない影響をほとんど、または、全く増加させないが(1件の研究、454人)、28日目の重篤な望ましくない影響についてはわからない(2件の研究、499人)。

エビデンスの限界は何か?

いくつかの理由から、エビデンスへの確実性は限定される。研究の対象者は全員が入院していたが、中にはより重症の人もいた。人工呼吸器を装着している人だけを対象とした研究もあった。また、通常のケアは研究によって異なっており、報告された結果は研究によって異なる方法で測定されていた。

このレビューの更新状況

エビデンスは、2021年11月5日までのものである。

訳注: 

《実施組織》堺琴美、杉山伸子 翻訳[2022.02.16]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD015308》

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