未熟児の動脈管開存症を管理する治療法

論点

未熟児の動脈管開存症(PDA)と呼ばれるよくみられる心臓病の予防や治療には、どのような治療法が有効で安全なのか?

背景

PDAは未熟児や低出生体重児によくみられる合併症である。動脈管は、肺と心臓の間に開いた血液路のことであるが、通常は生後まもなく閉鎖する。未熟児や低出生体重児の場合、動脈管が開いたままになることがあり、生命を脅かす合併症の原因となることがある。私たちは、どのような治療法がPDAとそれに関連する問題を安全かつ効果的に予防・治療できるかを知りたかった。

研究の特徴

16 件のコクランレビューが対象となった。そのうち6件のレビューが、薬物、手術、あるいは薬物や手術を伴わない他の手段によるPDAの予防に関するエビデンスを提供していた。1件のレビューでは、赤ちゃんに症状が出る前にPDAを治療するというエビデンスが示されているが、それ以外のレビューでは、PDAによる症状がある赤ちゃんに、薬物または手術のいずれかを用いて治療するというエビデンスが示されている。

主な結果

この概要では、インドメタシンとイブプロフェンの両方が、PDAによる症状が出る前の未熟児に投与された場合、重度の脳出血とPDA手術の必要性を減少させる可能性があることが明らかになった。赤ちゃんにPDAによる症状がある場合では、インドメタシン、イブプロフェン、アセトアミノフェン(特に早期に投与した場合)など、利用可能なすべての薬物療法がPDAの閉鎖に有効である。イブプロフェン療法を行う場合、静脈内投与よりも経口投与の方がよいようである。また、イブプロフェンの高用量投与は、標準用量投与よりもPDAの閉鎖に効果的なようである。

エビデンスの確実性

GRADE(各結果を支持する試験の確実性を点数化する方法)によると、エビデンスの確実性は非常に低いものから高いものまでさまざまであった。AMSTAR 2基準(レビューの質を評価する方法)によると、収録されたコクランレビューの質も高いものから著しく低いものまでさまざであったが、ほとんどが中程度から低いものであった。

このレビューの更新状況

検索結果は2022年10月20日時点のものである。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、杉山伸子 翻訳[2023.09.06]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013588.pub2》

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