生殖補助医療を受ける女性に対する成長因子添加培養液

レビューの論点

成長因子GM-CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)を含む培養液は妊娠・生産の可能性を向上させ、流産・双胎妊娠・品胎(三つ子)妊娠・早産・先天奇形・遺伝的問題・死産のリスクを低下させるだろうか?

背景

生殖補助医療は女性の卵子と男性の精子を体外で結合させて受精させる過程を含む。受精卵は胚となり女性の子宮に戻されるまで、培養液と呼ばれる溶液に入れられ成長を促される。GM-CSFを添加された培養液は不妊治療施設で広く使用されており、体外受精(IVF)周期の治療成功率を向上させるための「アドオン(追加サービス)」として提供されることが多い。GM-CSF添加培養液を使用することで、IVFはより高価になる可能性がある。

研究の特性

エビデンスは2019年10月現在のものである。IVFまたは卵細胞質内精子注入法(ICSI、精子を卵子に注入するIVFの手法)を受けている女性1532例を含む3つのランダム化比較試験(参加者がランダムに2種類以上の治療群に振り分けられる試験)からデータを得た。生殖補助医療を受けている人を対象として、GM-CSF添加培養液と非添加培養液とを比較した。

レビューでわかったこと

GM-CSF含有培養液とGM-CSFを含まない培養液とを比較して、生産率に差があるか否か不確かであることが、低い質のエビデンスで示された。これは、GM-CSFを含まない培養液に関連する生産率が22%であるとき、GM-CSF含有培養液の生産率が21%から30%の間であることを示唆している。また、GM-CSF含有培養液とGM-CSFを含まない培養液とを比較して流産に差があるか否か不確かであることも、低い質のエビデンスで示された。これは、GM-CSFを含まない培養液に関連する流産率が4%であるとき、GM-CSF含有培養液の流産率が2%から5%の間であることを示唆している。GM-CSF含有培養液とGM-CSFを含まない培養液とを比較して、妊娠、先天奇形、赤ちゃんの遺伝的問題について差があるか否か不確かであることが質の低いエビデンスで、および双胎妊娠や品胎(三つ子)妊娠、早産について差があるか否か不確かであることが非常に質の低いエビデンスで示された。2件の試験では死産を調査していたが、いずれにも死産が発生しなかったためこのアウトカムを分析することは出来なかった。

全体的な結論

エビデンスの質が低い、または非常に低かったため、GM-CSFの添加が添加しない培養液と比べてより有効か有効でないか、または有害かを明らかにすることはできなかった。GM-CSF添加培養液を使用することを検討している人が、エビデンスに基づく独立した情報を利用可能になることが重要である。結論の確実性を高めるために、より大規模な研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》内藤未帆、杉山伸子 翻訳[2020.11.09]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013497.pub2》

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