慢性B型肝炎に対するRadix Sophorae flavescentisと他の薬剤または生薬の比較

レビューの論点

慢性B型肝炎ウイルス感染者を対象に、Radix Sophorae flavescentisの有益性と有害性について、他の薬剤または生薬と比較し評価する。

背景

慢性B型肝炎ウイルス(Chronic hepatitis B virus :HBV)感染はよくある肝疾患であり、罹患(疾病)率および死亡率は高い。 慢性B型肝炎は精神的なストレスを引き起こし、また患者や家族の負担となる。Radix Sophorae flavescentisは、慢性B型肝炎ウイルス感染者の治療に使用されており、同感染者の苦痛を軽減したりウイルスの複製を防いだりすると考えられている。しかし、有益性および有害性はまだ明らかではない。

検索期間

2018年12月に科学データベースを検索した。

試験の特性

合計898例が参加した10件のランダム化臨床試験(2つ以上の治療群の1つに参加者をランダムに割付ける臨床試験)をレビューに含めた。全ての試験はバイアスのリスクが高かった。これらの試験は、Radix Sophorae flavescentisの経口カプセル、(静脈内に投与する)静脈内点滴、(筋肉に投与する)筋肉内注射、経穴[鍼治療で特別に選択された部位]注射について、1~12カ月の治療期間で検討した。Radix Sophorae flavescentisを、ラミブジン、アデホビル、インターフェロン、チオプロニン、チモシン、および他の中薬(中医学の薬草療法)と比較した。2試験が14歳以下の小児を含んでいた。試験1件の複数の参加者に慢性B型肝炎ウイルス感染での肝硬変(肝臓の後期ステージ瘢痕)が認められた。

試験の資金源

10試験のうち2試験は資金提供を受けておらず、1試験は政府から資金提供を受けていた。残りの7試験は、資金提供の情報を提供していない。資金提供情報の非開示は試験結果に影響し、不適切な試験デザインにつながる可能性がある。

主要な結果

健康関連の生活の質(人生や健康への満足度尺度)について報告した試験や、何らかの理由またはB型肝炎で死亡あるいは、死亡するリスクがあった感染者を追跡した試験はなかった。2試験において、副作用は「重篤ではない」と考えられた。Radix Sophorae flavescentisは、他の薬剤または生薬と比較し、「重篤ではない」と考えられる副作用の発現に関しより優れているかより劣るかを言及することはできなかった。HBV-DNA(B型肝炎ウイルスの遺伝子設計図)が検出される参加者の割合について、Radix Sophorae flavescentisにプラスの効果、中立的効果あるいはマイナスの効果があったかどうか不確かであった。Radix Sophorae flavescentisは、B型肝炎ウイルスe抗原(免疫系が産生するHBeAg)が検出される参加者の割合を減少させた可能性がある。しかし、データを提供している試験は小規模であり、バイアスリスクが高く、HBV感染者に関連性があるものとはまだ証明されていないことから、これらの所見には注意が必要である。レビュー実施に必要な情報が不足している試験109件をレビューに含めないこととした。従って、慢性B型肝炎ウイルス感染者に対するRadix Sophorae flavescentisの有益性と有害性を明らかにするためには、適切にデザインされたランダム化臨床試験からのさらなる情報が必要である。

エビデンスの確実性

「科学的根拠(エビデンス)の確実性」とは、「ある所見を支持するか否かのレビュー結果が正しいことへの信頼度」である。 死亡についての有益または有害な作用、健康関連の生活の質、HBV感染により死亡するリスクおよび、重篤な副作用という観点での、慢性B型肝炎ウイルス感染者へのRadix Sophorae flavescentisの使用に対するエビデンスの確実性は、患者に関連性のあるアウトカムを報告した試験がなかったため、明らかにすることはできない。Radix Sophorae flavescentisは他の薬剤または生薬と比較して、「重篤ではない」と考えられる副作用やHBV-DNAが検出される感染者数を減少あるいは増加させるであろうとの我々のエビデンスの確実性は、非常に低い。Radix Sophorae flavescentisはHBe抗原が検出される感染者数を減少させるという我々のエビデンスの確実性も、非常に低い。エビデンスの確実性に対するこれらの評価結果は、レビューに含めた試験のデザインおよび試験報告が不適切であったことによるものである。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2019.09.30] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。  《CD013106.pub2》

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