アルコールによる血圧に対する二相性効果及び心拍数上昇

レビューの論点

正常な血圧と血圧上昇が見られる成人(18歳以上)の血圧と心拍数に対する、ノンアルコール飲料と比較したアルコール飲料の異なる用量の短期的な効果について、利用可能なエビデンスをレビューした。

背景

過剰飲酒は血圧上昇の原因の一つとされている。アルコールの単回投与による24時間以内の血圧や心拍数への影響を定量化することを目的とした。

研究の特性

このレビューでは、2019年3月までに発表された767人の参加者を含む32件のランダム化比較試験が含まれている。これらの試験は、さまざまな健康状態を持つ18歳から96歳までの成人を組み入れ基準としていたが、研究参加者のほとんどは若くて健康な男性であった。資金源については、大多数の研究で報告されていなかった。

主な結果

低用量のアルコール投与については、コップ1杯のアルコールが血圧にほとんど影響を与えず、飲酒後6時間以内に心拍数を上昇させる効果が見られた。

中用量のアルコール投与が摂取後6時間以内に血圧を低下させ、心拍数を上昇させる効果には中程度の確信度を持っている。その後は血圧や心拍数に大きな変化は見られなかったが、エビデンスは限られていた。

また、高用量のアルコール投与が6時間以内に血圧を低下させ、その効果は12時間まで持続したことにも中程度の確信度がある。その後、血圧が上昇していたことが分かった。アルコール摂取後に心拍数が有意に増加し、測定時にも常に増加したままの状態であった。

このように、アルコールは最初は血圧を低下させ(投与してから12時間後まで)、その後血圧を上昇させる効果がある。アルコールは24時間以内には常に心拍数を増加させる効果がある。

訳注: 

《実施組織》 季律、阪野正大 翻訳[2020.08.11] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD012787.pub2》

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