骨髄障害を持つ患者において、出血が起こった場合にのみ血小板輸血を行う場合と出血予防にも血小板輸血を行う場合の比較

レビューの目的

骨髄障害を持つ患者においては、出血は、血小板数が少ないか、血小板が正常に機能しないか、その両方のために起こりうる問題である。血小板輸血は、出血を止めるために出血時、または出血予防のために出血が起こる前に行うことができる。

本レビューでは、輸血は出血が起こった場合にのみ与えるべきか、予防策として事前に行うべきかを検討した。レビューの対象とする集団は、年齢を問わず骨髄障害を持つ人々である。

背景

骨髄は、多くの種類の血液細胞が産生される場所である。赤血球は全身のすみずみまで酸素を運ぶために必要である。白血球は感染症と戦い、血液中の血小板は血を凝固させて出血を防ぐのに役立っている。骨髄不全は、原因はさまざまで、生まれた時からまたは後天的にも起こりえる。その結果、先ほど述べた体内の3種類の血液細胞のうち、一部または全部が病的に少なくなる可能性がある。

血小板が少なすぎると、重篤で生命にかかわる出血の危険にさらされる可能性がある。血小板輸血は、骨髄障害を持つ患者の出血を予防または治療するために一般に用いられる。しかしながら、輸血反応や輸血を介した感染症など、血小板輸血の定期的に使用することによるリスクが伴う。

現時点では、出血時にのみ血小板輸血を行うのと、出血予防のために血小板輸血を行うのと、どちらが輸血方針として最良であるかは、分かっていない。

試験の特性

骨髄障害と血小板減少症を有する、あらゆる年齢の人々を対象にした臨床研究(ランダム化比較試験と適切に設計された非ランダム化研究)について、科学的なデータベースを検索した。本エビデンスは、2017年10月12日現在のものである。 本レビューの含有条件に合致した研究は1つであった。この研究は、9人の参加者を募った時点で、それまでに3年もの年月がかかったため、中止された(この調査は、2年間で60人の参加者を募集する予定であった)。進行中の試験はなかった。

主要な結果

本レビューに含まれる唯一の研究は、結果を報告していなかった。

結論

出血の治療として血小板輸血を行う方法が、血小板の数が事前に指定されたレベルを下回った場合に予防的に血小板輸血を行うのと同等に良い選択肢なのかどうかを決定するのに、役立つエビデンスを見つからなかった。本レビューの臨床疑問に答えるために、良質な研究が早急に求められている。

エビデンスの質

組み入れた研究からデータが入手できなかったため、エビデンスの質は評価していない。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子 翻訳、康秀男 監訳[2019.8.19]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD012342》

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