認知症患者に対する芸術療法の効果における確定的でない結果

題名
認知症患者に対する芸術療法

背景

認知症は人の記憶に影響をあたえるよくみられる疾患である。人の思考や感情および行動にも影響する場合がある。また、認知症は世界中の健康と社会に大きな影響を及 ぼ している。投薬以外の治療の中には、認知症患者に役立つ可能性があるものがある。

芸術療法は心理療法の1つで、精神と行動の問題に対する治療法である。芸術は、思考と感情を表現・伝達する方法の1つとして用いることができる。芸術療法士の目的は、患者と協力して患者が個人的なレベルで変化し、「成長」できるように助けることである。これは、芸術的素材を用いてこのプロセスを可能にする安全な環境で行われる。

研究の特性

認知症患者を対象として、芸術療法による介入群と標準療法や他の治療活動による対照群とを比較した臨床試験を検証した。記憶と思考、感情、幸福感、社会的行動および生活の質における芸術療法の効果を検討したまた、芸術療法のマイナス効果費用も検討した。合計88例の高齢者が参加した試験が2件見つかった。60例について結果が報告されていた。1件の試験は、芸術療法を行う群と単純計算を行う群を12週間以上にわたって比較した。もう1件の試験は、芸術療法を行う群とレクリエーション活動を行う群を40週間以上にわたって比較した。エビデンスは2017年10月現在のものである。

主な結果

この2件の試験では、芸術療法と他の活動の比較において、記憶または他のほとんどのアウトカムは明確な変化が見られなかった。

エビデンスの質

これらの試験は結果の質を低下させる要因が多いため限定的であり、これを評価する既知の方法により「非常に低い」と判断された。それぞれの試験が違なる種類の芸術療法を用いていた。このため、全ての結果を統合して検討するのは困難である。1件の研究は、臨床試験を完了しなかった参加者率が高かった。両試験とも参加者が少ないため、どの程度結果が正確か確定するのは難しい。また、効果がより多くの参加者に対しても同じかどうか判断するのも困難である。芸術療法は、効果試験するのが難しい。

このトピックにはさらなる調査が必要である。認知症患者に対する芸術療法の効果について調査試験からの情報は十分ではない。本レビューは、これを行う方法を示した。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD011073.pub2】

Tools
Information
Share/Save