慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease :COPD)に対する筋刺激

レビューの論点

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease :COPD)[咳、喀痰(肺からの液体、痰など)、呼吸困難を特徴とする長期的肺症状]の患者の大腿筋に電気刺激を施行した場合のエビデンスを検証した。2群(筋肉に伝導パッドを貼り付けることにより電気刺激を受ける群、通常の医療ケアを受ける群)を設定した試験について検証をおこなった。また、運動プログラムに電気刺激を追加し、運動プログラムのみを行った群の結果と比較した試験についても検証した。

試験では、筋力と持久力(筋肉が動き続ける長さ)、筋肉サイズ、運動能力、息切れ、下腿の疲労感、健康関連の生活の質(health-related quality of life :HRQoL、生活と健康の満足感の評価)を評価した。また、大腿筋への電気刺激で望まない効果が起こるかどうかも検証した。

背景

COPD患者は、運動が困難であり、息切れを感じる。しかし、頻回な早歩きや座位でのサイクリングなどの運動は、呼吸困難を低減し、運動能力を改善する。運動に役立つ1つの方法は、大腿筋の状態(どの程度よく筋肉を動かせるか)を改善することである。

しかし、COPD患者の中には、大腿筋の状態を改善する上で十分なほどのレベルでの運動は困難な患者もいる。なぜならば、運動に伴って重度の息切れが起こるためである。これらの患者では、大腿筋を刺激するために電気伝導を用いることが、患者の状態を改善する上で役立つ。電気刺激は少量の筋肉にのみ行うため(複数の筋肉が関与する運動と異なる)、電気刺激は重度の息切れを引き起こすことなく実施できる。電気刺激が下腿の筋肉の状態を改善することができれば、有用なリハビリテーション法となる可能性がある。

検索期間

エビデンスは2018年3月現在のものである。

試験の特性

19試験選択基準を満たし、そのうちの16試験について、参加者267例のデータを解析に組み入れた。各試験の被験者の平均年齢は56〜76歳で、179例(67%)が男性であった。7試験では、電気刺激のみを施行した場合の効果について、9試験では、運動プログラムに電気刺激を追加した場合の効果について検討した。電気刺激は、さまざまな状況下で行われており、例えば、自宅、外来、病棟、集中治療室などで行われた。大半の試験では、4〜8週間、1週間に4〜7日間、30〜60分間、1日に1回または2回大腿筋を刺激した。

主要な結果

電気刺激のみを施行した場合の効果を検証した試験では、大腿筋の筋力および持久力の増加が認められた。また、運動能力の評価項目のうち、すべてではないがいくつかで増加、運動後の下腿疲労度の低下が認められた。運動プログラムに電気刺激を追加した場合の効果を検討した試験では、6分間の歩行距離に軽度の増加が認められた。最も状態の悪い(集中治療室に入院中など)患者では、運動プログラムに電気刺激を追加した場合、ベッドでの拘束期間が減少した。電気刺激を行っても、副作用のリスクは増加しなかった。

エビデンスの質

本レビューにおけるエビデンスの質は低かった。これは、大半の試験でデザイン上の問題があったためである。本レビューに今後の試験を追加することにより、本結果が変わる可能性がある。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD010821.pub2】

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