静脈性下腿潰瘍に対するアルギネート創傷被覆剤

静脈性下腿潰瘍は発生や再発が多い複雑な慢性創傷で、患者に苦痛を与え、医療スタッフの費用負担が大きい。包帯やストッキングを用いる圧迫療法は、静脈性下腿潰瘍の管理にとって非常に重要であると考えられている。創傷を保護し湿潤環境を提供して治癒を促進するため、包帯やストッキングの下に創傷被覆剤を用いる。アルギネート創傷被覆剤は海藻由来の物質を含有しており、入手可能な被覆剤の一種である。製造者の異なるアルギネート創傷被覆剤を比較した、またはアルギネート創傷被覆剤を他の種類の被覆剤と比較した5件のランダム化比較試験から得られたエビデンスを評価した。創傷治癒に関して、製造者の異なるアルギネート創傷被覆剤の間で、またはアルギネート創傷被覆剤とハイドロコロイド被覆剤またはプレーンタイプの非接着性被覆剤の間にがあることを示唆する優れたエビデンスは得られなかった。有害事象治療群間でおおむね類似していた(アルギネート創傷被覆剤とプレーンタイプの非接着性被覆剤の比較評価は実施せず)。全体的に、現時点で得られているエビデンスの質は低い。さらに、静脈性下腿潰瘍の管理におけるアルギネート創傷被覆剤の使用に関して確実な結論を導くには、質の高いエビデンスが必要である。

著者の結論: 

現時点で得られているエビデンスは、アルギネート創傷被覆剤がハイドロコロイド被覆剤またはプレーンタイプの非接着性被覆剤と比較して静脈性下腿潰瘍の治癒に有効であるかどうかを示していない。また、アルギネート創傷被覆剤の製品ごとの相違を示唆するエビデンスは得られていない。しかし、この分野のRCTは方法論の質が低いかまたは不明と考えられる。さらに、静脈性下腿潰瘍の管理に対するアルギネート創傷被覆剤の有効性に関する確実な結論を導くには、適切にデザインされ、頑健に実施されたRCTから得た質の高いエビデンスが必要である。これらのRCTはバイアス最小化する方法を採用し、その方法について明確に報告したものでなければならない。

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背景: 

静脈性下腿潰瘍は発生および再発の多い複雑な慢性創傷で、患者および医療スタッフにおける多額の費用負担と関連している。治癒を促進するため、通常、圧迫装置の下に一次創傷被覆剤を使用する。アルギネート創傷被覆剤は使用頻度が高く、さまざまなアルギネート製品が市販されているが、被覆剤の選択肢の指標となるエビデンスはほとんど得られていない。

目的: 

圧迫療法の併用または非併用の条件下で、静脈性下腿潰瘍の治癒に対するアルギネート創傷被覆剤の効果を他の被覆剤、被覆剤以外の治療または被覆剤なしと比較検討すること。

検索方法: 

2015年3月に初回更新を行い、Cochrane Wounds Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、Ovid MEDLINE、Ovid MEDLINE(In-Process & Other Non-Indexed Citations)、Ovid EMBASEおよびEBSCO CINAHLをデータベース検索した。言語または出版日による制限は設けなかった。

選択基準: 

静脈性下腿潰瘍の治療に対してあらゆる種類のアルギネート創傷被覆剤の効果を評価した、既報のまたは未発表のランダム化比較試験(RCT)を組み入れた。

データ収集と分析: 

2人のレビュー著者がそれぞれ試験を選択し、データを抽出し、バイアスのリスクを評価した。可能かつ適切な場合は、メタアナリシスを実施した。

主な結果: 

5件のRCT(参加者295人)を本レビューに組み入れた。いずれも初回レビュー時に同定された。バイアスのリスクは2件の試験では全体的に高く、3件では不明であった。1件のRCT(参加者20人)では製造者が異なるアルギネート創傷被覆剤を比較した。3件のRCT(参加者215人)ではアルギネートをハイドロコロイド創傷被覆剤と比較した。1件のRCT(参加者60人)ではアルギネートをプレーンタイプの非接着性創傷被覆剤と比較した。追跡期間は、3件のRCTでは6週間、2件のRCTでは12週間であった。どの治癒アウトカムを比較した場合も、統計学的に有意な群間は認められなかった。1種類の比較(アルギネート対ハイドロコロイド)についてメタアナリシスが可能であった。2件のRCT(参加者84人)のデータを、6週間目の完全治癒について統合した(リスク比0.42、95%信頼区間0.14〜1.21)。有害事象プロファイルは群間でおおむね同様であった(アルギネートとプレーンタイプ非接着性被覆剤の比較評価は実施せず)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.14]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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