多発性硬化症(MS)に対する新規経口薬テリフルノミド

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利用可能な疾患修飾療法(DMT)の選択肢を広げ遵守を高めて有効性を改善するため、低侵襲性の投与経路で新しい作用機序の新しいDMTが開発中です。テリフルノミドは、免疫抑制と免疫調整特性をもつ経口投与の疾患修飾薬です。さまざまな病型のMS[再発性弛張性(RRMS)、再発二次進行型(SPMS)、および進行再発型(PRMS)]の患者でのテリフルノミドの有効性および安全性を評価しました。年間再発率、能力障害無進行の患者の割合、脳病変数を調べました。関連性のある文献中、2件の研究選択基準を満たしました。総数1,204名の患者を対象とし、テリフルノミド単剤療法とIFN-βに追加したテリフルノミド療法をプラセボと比較して検討していました。研究はその質に限界があり、短期間の研究で製薬会社が援助していたため、MSに対するDMTとしてのテリフルノミドの使用について、明確な推奨を行えませんでした。安全性に関する限り、高頻度の有害事象は、頭痛、下痢、疲労、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇、悪心、毛髪菲薄化または毛髪密度低下、インフルエンザ、背部痛、尿路感染などでした。研究方法の質が高く、有害事象の評価が良好で、テリフルノミドの投与期間が長いさらなる研究が必要です。

著者の結論: 

得られたRCTの限定的な質のため、MSに対する疾患修飾療法としてのテリフルノミドの使用について低レベルのエビデンスを認めた。選択した研究の臨床的かつ方法論的多様性から、メタアナリシスを実施しなかった。短期のテリフルノミド7 mgまたは14 mg単剤療法、もしくはそのIFN-βへの追加療法は再発型MS患者に安全であった。テリフルノミド7 mgまたは14 mg単剤療法はどちらも再発型MS患者に利益がある可能性があった。進行中試験の発表を待っている状況である。安全性、能力障害の進行、神経保護作用および生活の質を評価するため、高品質の方法の長期観察期間を有するRCTが必要である。

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背景: 

多発性硬化症(MS)に対する疾患修飾療法(DMT)は、再発型多発性硬化症での炎症を特異的に低減し、進行型多発性硬化症での神経保護および神経修復を促進することを目的としている。現在利用可能な疾患修飾薬(DMD)の大半は、定期的かつ頻回の非経口投与を必要とし患者には負担であるため、遵守が不良となっている。現在のDMDに全ての患者が十分に反応するわけではないことから、現在の治療レパートリーを広げ、遵守率を上昇させて有効性を改善させる、低侵襲性の投与経路で作用機序の新しいMS代替治療が必要とされている。経口投与のDMDの一つとして、テリフルノミドは再発型MSの治療における有望な可能性を有する新規経口薬で、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)およびピリミジン合成を阻害し、選択的な免疫抑制および免疫調節特性を有する。

目的: 

テリフルノミドの潜在的利益を探索し、利用可能なDMT選択肢を広げるため、MS患者での疾患修飾に対する単剤療法または併用療法としてのテリフルノミドの有効性および安全性をプラセボまたは既承認DMD(IFN-β、グラチラマー酢酸塩、ナタリズマブ、ミトキサントロン、フィンゴリモド)と比較して評価した。

検索方法: 

Trials Search Co-ordinatorによりCochrane Multiple Sclerosis and Rare Diseases of the Central Nervous System Group Specialised Registerを検索した(2012年6月27日)。同定した試験の参考文献をチェックし、神経学会およびMS学会からの報告(2004~2012年6月)をハンドサーチした。テリフルノミドの試験に参加した研究者らに連絡を取り、Sanofi-Aventisにも連絡を取った。

選択基準: 

MS患者を対象に、プラセボまたは他の治療(IFN-β、グラチラマー酢酸塩、ナタリズマブ、ミトキサントロン、フィンゴリモド)と比べた単剤療法または併用療法としてのテリフルノミドを1年以上のフォローアップ期間で評価している全てのランダム化、二重盲検、比較対照、並行群間臨床試験(RCT)。文献検索により回収した引用の標題および抄録を、2名のレビューアが別々に選択または除外か振り分けた。選択についての不一致は討議、または必要な場合は第三の評価者に照会した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出し試験の質を評価した。不一致はレビューア間で討議し解決した。その後追加されたデータまたは情報確認のため、選択した研究の主任研究者に連絡を取った。

主な結果: 

再発型MS[再発性弛張性(RRMS)、再発二次進行型(SPMS)および進行再発型(PRMS)]で参加時Expanded Disability Status Scale(EDSS)スコアが5.5以下の成人患者を対象に、プラセボと比較した、テリフルノミド7 mgおよび14 mgの単剤療法またはそのIFN-βへの追加療法の有効性および安全性を、1,204名対象の2件の研究が検討していた。両研究症例減少バイアスは高かった(それぞれ26.8%と36.4%)。短期間において、再発型MS患者に対し、テリフルノミド7 mgまたは14 mgの単剤療法は再発率低下に利益がある可能性を有し、単剤療法またはそのIFN-βへの追加療法は安全であった。最も高頻度の有害事象は、鼻咽頭炎、頭痛、下痢、疲労、アラニンアミノトランスフェラーゼ値上昇、悪心、毛髪菲薄化または毛髪密度低下、インフルエンザ、背部痛、尿路感染、上肢または下肢の疼痛であった。4件の進行中試験を同定した。

訳注: 

監  訳: 相原 智之, 2014.3.14

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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