禁煙の薬物療法を受けている人に、更に支援を追加することで禁煙の成功率を上げられるか?

背景

薬物療法(ブプロピオンやバレニクリンのような全てのニコチン代替療法を含む)は、禁煙の助けになることが示されており、禁煙の助けを望む人々にはしばしば薬(薬物療法)が処方される。行動支援も、禁煙に役立つ。行動支援には、簡単なアドバイスやより集中的なカウンセリングがあり、1対1またはグループでの面接、またはクイットラインと呼ばれる禁煙電話相談などにより提供される。禁煙の薬物療法を行う人に、支援を追加したり、より集中的な支援を提供することで、どの程度の追加的効果が得られるかは不明である。

研究の特性

喫煙者を対象とし、薬物療法が全ての人に提供されている研究を検索した。研究の中で、対象者は、異なる量、または異なる種類の行動支援を受けるグループに無作為に割り付けられていた。提供された支援が禁煙に役立ったかどうかを評価するため、6ヶ月以上経過した後の禁煙成功者の人数を調査した研究を採用した。妊婦のみを対象とした研究は含めなかった。

主な結果

文献検索は、2018年6月に行った。83の研究から、合計約30,000人の対象者が含まれた。ほとんどの研究は禁煙を望む人々を対象としていたが、少数の研究では止めようとしていない人々に支援を提供していた。65の研究の結果を統合すると、禁煙薬を使用している人々への行動支援の量を増やすことは、禁煙の機会を増やすことに繋がることが示唆された。支援が少ないか受けていないグループの禁煙率は約17%で、より多くの支援を受けていたグループでは約20%であった。個人的な接触、対面または電話を介しての支援は、禁煙の助けとなっていた。異なるタイプの支援を比較した研究は、ほとんど無かった。どのようなタイプの行動支援が、禁煙に対して効果的であるか調べるには、より多くの研究が必要である。

エビデンスの質

エビデンスの質は全体的に高く、今後の研究によって本レビューの結論が変わる可能性は非常に低い。このレビューは2度に渡り更新されており、多くの新しい研究が更に追加されたにもかかわらず、研究の統合結果が大きく変わることは無かった。

訳注: 

《実施組織》星佳芳 翻訳、清原康介 監訳[2020.03.25]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD009670.pub4》

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