進行非小細胞肺癌患者に対する治療としてシスプラチンベースの化学療法とカルボプラチンベースの化学療法の比較

レビューの論点

進行非小細胞肺癌患者の治療にカルボプラチンはシスプラチンよりも有効で毒性が低いか。

背景

肺癌はがんによる死亡原因の第1位であり、肺癌がみつかった患者の半数以上は、診断時すでに完治できない状態である。非小細胞肺癌は肺癌のうち最もよくみられる型であり、全肺癌患者の約85%を占める。近年、標的療法や免疫療法の開発が進んでいるが、白金製剤を使用する(プラチナベースの)化学療法は延命効果が十分に確立されていることから、進行非小細胞肺癌に対する治療として今もなお有用であり、使用可能である。シスプラチンまたはカルボプラチンと他の薬剤を同時に使用(多剤併用)する治療法は広く用いられているが、好ましくない副作用を伴う可能性もある。本系統的レビューの目的は、この繁用される2剤のうちどちらがより有効で副作用が少ないのかを判断することにある。

試験の特性

シスプラチンとカルボプラチンを比較した臨床試験11件(対象者4,046人)を特定した。いずれもいわゆる第3世代と呼ばれる別の新しい薬剤を併用していた。

主な結果

シスプラチンとカルボプラチンの延命効果は同等であったが、毒性の内容が異なっていた。カルボプラチンは血小板減少症の発現率が高かった(血小板は血液凝固を制御する血液中の成分である)。

エビデンスの質

本コクランレビューにおけるエビデンスの質は、全生存期間、1年生存率、奏効率は高度、それ以外の評価項目は中等度であった。

訳注: 

《実施組織》一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)『海外癌医療情報リファレンス』(https://www.cancerit.jp/)武内 優子 翻訳、後藤 悌(国立がん研究センター中央病院呼吸器内科)監訳[2020.03.03]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン・ジャパンまでご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD009256.pub3》

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