分娩での疼痛管理に対する局所麻酔神経ブロック

大半の女性は分娩時に痛みを感じるが、痛みを感じない女性も少数みられる。2回以上出産する女性では、分娩の度に異なる強さの痛みを感じる。女性は一般に分娩に対処する方法を求めており、痛みのコントロールに有用なさらなる方法を探す女性もいる。 分娩時の疼痛のコントロールに対する様々な種類の局所麻酔神経ブロックについて検討した。分娩第1期中に使用されることが多い、局所麻酔液を子宮頸部周囲に注射する子宮頸管傍ブロックについて検討した。また、分娩第2期に一般に使用される、骨盤陰部神経領域に局所麻酔液を注射する陰部神経ブロックも検討した。 1,549名の女性を対象とした12件の研究を認めた。当該研究は小規模で質は良好ではないため、本所見について確実性はないと考えられる。データによると、これらの局所麻酔薬はプラセボより疼痛緩和に有効であったと示唆された。局所麻酔神経ブロックを実施した場合、異なる局所麻酔薬液の使用による疼痛緩和のはなかった。胎児心拍数の低下、めまい感、発汗、短時間のみ続く下肢ピリピリ感という副作用は、局所麻酔神経ブロックとプラセボを比較した1件の研究で報告された。 本所見を確認し、他のアウトカムを評価し、分娩疼痛緩和のための他の介入と局所麻酔神経ブロックを比較するため、より質の高い研究が必要である。

著者の結論: 

質が不明で限定的な症例数のRCTに基づくと、局所麻酔神経ブロックは、プラセボ、オピオイド、非オピオイド鎮痛薬に比べて分娩疼痛管理に有効であった。副作用はプラセボに比べて局所麻酔神経ブロック後の方が多かった。疼痛緩和に使用した様々な局所麻酔薬の疼痛緩和満足度は同程度であった。本所見を確認し、他のアウトカムを評価し、分娩疼痛緩和のための様々な介入と局所麻酔神経ブロックを比較するため、より質の高い研究が必要である。

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背景: 

局所麻酔神経ブロックは、分娩疼痛管理での重要な介入の一つである。陰部神経ブロックおよび子宮頸管傍ブロック(PCB)は、最も一般的に実施されている局所麻酔神経ブロックで、数十年間行われてきた。

目的: 

分娩疼痛緩和に対する局所麻酔神経ブロックの有効性および安全性を確立すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年2月28日)を検索した。

選択基準: 

局所麻酔神経ブロックの使用による分娩疼痛管理を評価しているランダム化比較試験(RCT)。準RCTからの結果は含めなかった。

データ収集と分析: 

データ抽出のためのフォームを作成した。適格な研究について、合意したフォームを用いて2名のレビューアがデータを抽出した。討議により不一致を解決し、必要であれば第三者に相談した。Review Managerを用いてデータを入力・解析し、正確性をチェックした。

主な結果: 

本レビューへの選択が考慮される41件の試験を認めた。質が不明である12件のRCT(参加者1,549名)のみを選択した。29件の研究(報告30件)を除外した。除外した研究の大多数は、本レビューに関連性がなく、少数の研究ランダム化された研究ではなかった。 局所麻酔神経ブロックとプラセボまたは無治療との比較 プラセボ投与後より局所麻酔神経ブロック(特に2%リドカインPCB)後の疼痛緩和に満足している女性の方が多かった[1件の研究、参加者198名、リスク比(RR)32.31、95%信頼区間(CI)10.60~98.54]。局所麻酔神経ブロックの方が多数の副作用に関連していた(1件の研究、参加者200名、RR 29.0、95%CI 1.75~479.61)。 局所麻酔神経ブロック(特にPCB)とオピオイドとの比較 局所麻酔神経ブロック(特にPCB)は、オピオイド(特に筋肉内投与ペチジンまたは患者自身の管理によるフェンタニール鎮痛)に比べて、疼痛緩和に有効であったという所見を得た(1件の研究、参加者109名、RR 2.52、95%CI 1.65~3.83)。また、補助経腟分娩率の上昇(2件の研究、参加者129名、RR 1.02、95%CI 0.56~1.87)と関連せず、帝王切開率の上昇(2件の研究、参加者129名、RR 0.23、95%CI 0.03~1.87)とも関連していなかった。 局所麻酔神経ブロックと非オピオイド薬との比較 疼痛緩和満足度と帝王切開率は、局所麻酔神経ブロックを受けた女性と非オピオイド薬を投与された女性で同じであったという所見が得られた(1件の研究、参加者100名、RR 1.11、95%CI 0.67~1.84対RR 2.0、95%CI 0.19~21.36)。局所麻酔神経ブロックの方が、非オピオイド薬投与に比べて、疼痛緩和のために追加の介入を要した女性が少なかった(1件の研究、参加者100名、RR 0.06、95%CI 0.02~0.25)。 異なる麻酔薬を用いた局所麻酔神経ブロック 異なる麻酔薬である、ブピバカイン、カルボカイン、リドカイン、クロロプロカインなどで、疼痛緩和満足度、補助経腟分娩、帝王切開、母体副作用、アプガースコア、新生児集中治療室への入院にはなかった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.8.29

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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