子宮筋腫に対するプロゲストーゲンまたはプロゲストーゲン放出子宮内システム(術前治療以外の内科的治療として)

レビューの論点

手術を受ける予定がない閉経前女性の子宮筋腫に対して、プロゲストーゲンやプロゲストーゲン放出子宮内システム(LNG-IUS)は有効な治療法か?

背景

子宮筋腫は、閉経前の女性によく見られる子宮の非がん性の良性腫瘍である。多くの子宮筋腫では症状がないが、中には重大な症状が出る女性もいる。一般的な症状としては、子宮の異常出血(通常の月経より量が多い、または期間が長い出血)、骨盤圧迫感(頻尿や便秘)、骨盤痛などがある。子宮筋腫の治療には、内科的治療、手術、またはその両方がある。内科的治療は、妊孕性を温存し、手術を回避または遅らせるための第一選択の治療法とされている。手術では、状況に応じて、筋腫だけを摘出(核出)する場合と、子宮全体を摘出する場合がある。プロゲストーゲン(天然のホルモンであるプロゲステロンに似た薬物は、経口摂取や注射で投与することができる。DMPA(メドロキシプロゲステロン酢酸エステルデポー)は、合成プロゲステロンを筋肉内に注射することで、子宮筋腫の成長を抑制する効果がある。プロゲストーゲン(レボノルゲストレル)放出型子宮内システム(LNG-IUS)は、子宮内に装着する器具で、プロゲステロンを放出し、子宮内膜を薄くして月経の出血量を減らす働きがある。

研究の特性

子宮筋腫の女性221名を対象とした4件のランダム化比較試験を対象とした。内訳としては、161名の女性がLNG-IUSと他の内科的治療(低用量経口避妊薬(COC))またはプロゲストーゲン経口薬(酢酸ノルエチステロン(NETA))との比較に割り付けられ、60名の女性がプロゲストーゲン経口薬とゴセレリン酢酸塩(エストロゲンを抑制する注射薬)との比較に割り付けられていた。これらの試験では、月経の経血量などの子宮筋腫に伴う症状と筋腫の大きさについて報告されていた。このレビューのエビデンスは、2020年7月までのものである。

主な結果

非常に質の低いエビデンスによると、子宮筋腫のある閉経前女性において、LNG-IUSを使用することで子宮異常出血が減少するか、またはCOCやNETAを使用するよりもヘモグロビン値が増加するかどうかは不明である。また、プロゲストーゲン経口薬が、ゴセレリン酢酸塩よりも子宮異常出血を減少させるかどうかは不明である。LNG-IUSを装着した女性は、NETAを内服している女性に比べて、不正出血が起こりやすい傾向があった。子宮筋腫の大きさとプロゲストーゲンによる有害事象に関するエビデンスは報告が少なく、結論は出ていない。

エビデンスの質

エビデンスの質は非常に低かった。エビデンスの主な限界は、研究方法の報告が不十分(バイアスのリスクが高い、または不明)であること、正確な結果報告がされていないこと、試験数および参加者数が少ないことであった。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子、阪野正大 翻訳[2021.06.01]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD008994.pub3》

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