原発性胆汁性肝硬変患者に対するクロラムブシル

原発性胆汁性肝硬変は、肝臓の自己免疫疾患である。クロラムブシルは免疫抑制作用を有するため、原発性胆汁性肝硬変患者に対し使用されてきた。本レビューの目的は、原発性胆汁性肝硬変に対するクロラムブシルの有効性又は有害な影響を評価することであった。レビューアらにより参加者24名を含むランダム化比較試験が1件のみ同定された。本試験では、クロラムブシルを無介入と比較している。本試験は小規模でバイアスリスクが高いため、結果に信頼性が得られない可能性が示唆される。1件のみ試験が選択されたため、メタアナリシスは実施不可能である。フィッシャーの直接確率検定およびt-検定を代わりに用いた。クロラムブシルを無介入と比較したところ、死亡率の有意な低下を伴わなかった。クロラムブシル投与患者は全て有害事象を経験し、そのうちには特に骨髄抑制が含まれた。クロラムブシル投与により、ビリルビン、アルブミン、免疫グロブリンMの平均血清中濃度、血清中アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性並びに肝の炎症性浸潤に有意な改善を認めた。しかし上記アウトカムは、患者関連のアウトカムの未検証の代替的アウトカムである。このことから、上記生化学的測定項目の改善が患者関連のアウトカムの改善を証明することにはならない。原発性胆汁性肝硬変患者に対するクロラムブシル使用が支持されるか又は否定されるかは不明のままである。

著者の結論: 

原発性胆汁性肝硬変患者へのクロラムブシル使用を支持する又は否定するに足る十分なエビデンスは得られていない。クロラムブシルは、一部の未検証の代替的なアウトカム指標(例えば、血清中ビリルビン濃度及び免疫グロブリンM濃度)において有益である可能性があるが、クロラムブシルは多くの有害事象関連する。骨髄抑制には特に留意すべきである。上記適応症におけるクロラムブシル使用の利益及び有害性を評価するには、さらなるランダム化臨床試験が必要である。

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背景: 

クロラムブシルは免疫抑制作用があるため、原発性胆汁性肝硬変患者に対し使用されてきた。しかし、本薬が上記患者に対し利益を有するのか有害であるのかについては明らかにされていない。

目的: 

原発性胆汁性肝硬変患者に対するクロラムブシルの有効性及び有害な影響を評価する。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register(2012年3月)、コクラン・ライブラリ中のCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2012年、第2号)、MEDLINE(1946年~2012年3月)、EMBASE(1974年~2012年3月)、Science Citation Index EXPANDED(1900年~2012年3月)、Chinese Biomedical Database(1976年~2012年3月)、Chinese Medical Current Contents(1994年~2012年3月)、China Hospital Knowledge Database(1994年~2012年3月)及び継続中の試験のデータベース(http://www.controlled-trials.com/mrct/)(2012年3月6日にアクセス)を検索し、適格試験を同定した。検索した発表物及びレビュー論文の参考文献リストも一読し、クロラムブシル製造で知られる製薬会社と連絡をとった。

選択基準: 

言語、発表年及び発表状態を問わず、いずれかの用量のクロラムブシルをプラセボ、無介入、別の実薬と比較するか又は、クロラムブシルのある用量を別の用量と比較するランダム化臨床試験

データ収集と分析: 

いずれも95%信頼区間(CI)を用いた、平均差(MD)の連続データ及び相対リスク(RR)を伴う二値アウトカムを評価するよう計画した。1試験のみ同定したため、フィッシャーの直接確率検定を実施した。

主な結果: 

1件のランダム化試験のみ同定し、レビューに組み込まれた。本試験バイアスリスクは高かった。本試験は、原発性胆汁性肝硬変患者24名を対象にクロラムブシル投与を無介入と比較する試験であった。フィッシャーの直接確率検定でクロラムブシル投与を無治療と比較したところ、死亡率の有意な低下は認められなかった[0/13(0%)対2/11(18.2%)、P = 0.20]。クロラムブシル投与と無治療有害事象に有意は認めなかったが、クロラムブシル投与患者は全て有害事象を経験した[13/13(100%)対3/11(27%)、P = 0.1]。本試験の著者によれば、クロラムブシル投与により、ビリルビン(P < 0.05)、アルブミン(P < 0.05)、免疫グロブリンM(P < 0.01)の平均血清中濃度、血清中アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性(P < 0.01)及び肝の炎症性浸潤(P < 0.01)の有意な改善を認めた。

訳注: 

監  訳: 林 啓一,2013.1.30

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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