女性の受胎能低下に対するビタミン剤およびミネラル剤

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レビューの論点:経口抗酸化剤を補給することで、プラセボ、無治療/標準治療(葉酸:1 mg超の服用など)または他の抗酸化剤と比較し、低受胎性の女性での受胎能を改善するか。

背景:不妊治療中の受胎能が低下した女性の多くが、受胎能の改善を期待し栄養剤を同時に摂取している。これは受胎能が低下した女性やその伴侶にとっては大変なストレスを受ける時期となることがある。不妊で悩む夫婦に、質の高いエビデンスを提供することは重要である。不妊治療中に抗酸化剤を補給することで受胎能の改善、もしくは有害作用の発現につながるか、十分な情報を得た上で判断することが可能となるためである。またこれは、抗酸化補助剤の多くは薬事法の規制を受けていないため、特に重要となる。本レビューでは、経口抗酸化剤を補給することで、受胎能が低下した女性が妊娠し、出産する可能性が増大するか評価することを目的とする。

検索日:本エビデンスは2013年4月現在のものである。

研究の特性:抗酸化剤とプラセボまたは無治療/標準治療、または他の抗酸化剤と比較した28件のランダム化比較試験(RCT)(女性参加者総計3,548例)をレビュー対象とした。

資金提供:資金提供元が報告されているのは、対象とした28件の試験中6件のみであった。

主な結果:抗酸化剤には、生児出生率または臨床妊娠率を増加させる効果は認められなかった。これらの結果から、抗酸化剤を服用していない受胎能が低下した女性100例のうち23例が妊娠、これに対して受胎能を改善するために抗酸化剤を摂取する女性は100例中22~36例が妊娠すると推定された。抗酸化剤は、流産、多胎妊娠または子宮外妊娠などの有害事象との関連性はないと考えられた。

エビデンスの質:本レビューで生児出生率、臨床妊娠率および有害作用について検討したエビデンスの質は「非常に低い」~「低い」と判定された。

著者の結論: 

「抗酸化剤とプラセボ/無治療」および「抗酸化剤同士」を比較したエビデンスの質を評価した結果、「非常に低い」と判定した。抗酸化剤について、生児出生率または臨床妊娠率の増加との関連性はないと考えられた。ペントキシフィリンと臨床妊娠率の増加を関連付けたエビデンスがいくつか得られているが、当該の比較を行なった試験は3件のみであった。本結果は、今後の試験結果により影響を受ける可能性がある。投与された抗酸化剤の種類にばらつきがあったため、特定の抗酸化剤が他の抗酸化剤に対して優越性を示したか評価することは不可能であった。女性参加者では抗酸化剤と有害作用関連性は認められなかったが、これらのアウトカムに関するデータは限定的であった。

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背景: 

1年を超えて努力しても妊娠しない夫婦には、不妊の問題があると考えられる。この妊娠が困難な状態のため、子供を望んでいる夫婦のうち1/4に上る人々が影響を受けていると考えられる。報告されている受胎能低下の有病割合が、過去20年にわたって顕著に増加している。夫婦の40%~50%で、排卵障害、卵子の質の低下、卵管損傷および子宮内膜症などの女性特有の諸問題の結果、受胎能低下が生じていると推定される。抗酸化剤はこれらの状況で生じた酸化ストレスを減少させると考えられている。現在、限定的なエビデンスから、抗酸化剤が受胎能を改善することが示唆されており、数々の試験でこの領域の探索が行われ、さまざまな結果が得られている。本レビューでは、女性の受胎能低下に対し、さまざまな抗酸化剤の有効性に関するエビデンスを評価した。

目的: 

経口抗酸化剤を補給することについて、プラセボ、無治療/標準治療または他の抗酸化剤と比較し、低受胎性の女性での受胎能アウトカムを向上させるか確認すること。

検索方法: 

次のデータベースを検索対象とし(最初から2013年4月まで)、言語については制限を設けなかった:Cochrane Menstrual Disorders and Subfertility Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、LILACSおよびOpenSIGLE。また学会抄録およびISI Web of Knowledgeの参照文献リストについても検索した。実施中の試験については、 Trials Registersにより検索した。参照文献一覧を確認し、Google検索を実施した。

選択基準: 

本調査では、不妊治療を受診する女性を対象に、あらゆる種類、用量または併用の経口抗酸化補助剤と、プラセボ、無治療または他の抗酸化剤投与とを比較したランダム化比較試験(RCT)を対象とした。不妊男性パートナーを除外するため、抗酸化剤と排卵誘発剤単剤を比較した試験、また不妊治療病院に通院する不妊女性を限定して組み入れた試験を対象とした。

データ収集と分析: 

3名のレビュー著者が独立して、2,127件の論文および抄録を査読し、このうち候補となった67件の試験の適格性および質について文献全文のレビュー、また論文著者に連絡を取り評価した。3名のレビュー著者は、データ抽出およびバイアスのリスク評価を行った。またレビュー著者は試験で報告された有害事象に関するデータについても収集した。固定効果モデルを用い、試験結果を統合した。ただし、試験間の異質性が高いと認められた場合、ランダム効果モデルを用いた。生児出生、臨床妊娠および有害事象に関する2値アウトカムについて、95%信頼区間(CI)のオッズ比(OR)を求めた。解析では、抗酸化剤の種類、受胎能低下に対する適応および、体外受精(IVF)または卵細胞質内精子注入法(顕微受精)(ICSI)を受ける女性で層別化した。エビデンスの総体的な質については、GRADE基準を適用し評価した。

主な結果: 

総計28件の試験(女性参加者数3,548例)を本レビューの対象とした。各試験では、ペントキシフィリン、<107>N</107>-アセチルシステイン、メラトニン、L-アルギニン、ビタミンE、ミオイノシトール、ビタミンC、ビタミンD+カルシウム、およびオメガ-3-多価不飽和脂肪酸などの併用投与を含む経口抗酸化剤と、プラセボ、無治療/標準治療、または他の抗酸化剤とを比較した。

抗酸化剤は、プラセボまたは無治療/標準治療と比較した場合、生児出生率の増加との関連性は認められなかった(OR:1.25、95%CI:0.19~8.26、P = 0.82、RCT:2件、女性参加者97例、I2= 75%、エビデンスの質は非常に低い)。このことから、受胎能が低下した女性での生児出生率は37%であり、また抗酸化剤を服用する女性では10%~83%であることが示唆される。

抗酸化剤は、プラセボまたは無治療/標準治療と比較した場合、臨床妊娠率の増加との関連性は認められなかった(OR:1.30、95%CI:0.92~1.85、P = 0.14、RCT:13件、女性参加者2,441例、I2= 55%、エビデンスの質は非常に低い)。このことから、受胎能が低下した女性での推定臨床妊娠率は23%であり、また抗酸化剤を服用する女性での推定臨床妊娠率は22%~36%であることが示唆される。

抗酸化剤同士の比較で生児出生率について報告した試験は1件のみ、また同比較で臨床妊娠について報告した試験は2件であった。本解析では部分的な合計のみを用い、またメタアナリシスについては、各試験で異なる種類の抗酸化剤を用いていたため実施不可能であった。

ペントキシフィリンは、プラセボまたは無治療と比較し臨床妊娠率を増加させた(OR:2.03、95%CI:1.19~3.44、P = 0.009、RCT:3件、女性参加者276例、I2 = 0%)。

有害事象がメタアナリシスにより14件の試験で報告され、その内容は流産、多胎妊娠、子宮外妊娠および消化器系への影響などであった。抗酸化剤投与群とコントロール群とでは有害作用を示したエビデンスはなかったものの、有害作用に関するデータは限定的なものであった。

エビデンスの質は総体的に「非常に低い」から「低い」という評価結果であり、アウトカムに関する報告が乏しいこと、対象とした小規模試験の数、各試験でのバイアスのリスクが高いこと、また一次解析での異質性が原因であった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.5]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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