急性虚血性脳卒中に対するスタチン系薬剤

著者の結論: 

急性虚血性脳卒中およびTIAの患者においてスタチン系薬剤が安全かつ有効であるか否かを明らかにするには、ランダム化試験で得られたデータは不十分であった。

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背景: 

スタチン系薬剤は虚血性脳卒中の急性期に有効であるとされている。急性脳血管虚血イベント発現時のスタチン系薬剤の潜在的効果は2つある。ひとつは神経保護作用(損傷抑制、回復改善)、もうひとつは早期再発に対する予防効果である。

目的: 

脳血管虚血イベント[一過性脳虚血発作(TIA)と虚血性脳卒中の両者]の急性期治療におけるスタチン系薬剤の潜在的な利益と有害性を定量する。

検索方法: 

Cochrane Stroke Group's Trials Register (2010年11月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2010年第4号)、MEDLINE(1950年~2010年11月)、EMBASE(1980年~2010年11月)を検索した。既報、未発表、および進行中の試験をさらに同定するため、進行中の試験および研究登録を検索し(2010年11月)、関連性のある論文の参考文献一覧を調査したほか、著者らに連絡を取った。

選択基準: 

急性虚血性脳卒中またはTIAの発現から2週間以内に投与したスタチン系薬剤(あらゆる種類および用量)を、プラセボまたは無治療と比較したランダム化比較試験(RCT)すべてを選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に検討対象とする研究を選択し、データを抽出した。方法論的質を評価したほか、必要に応じて研究著者らに連絡を取り、追加データを得た。アウトカムの定量的解析は、intention-to-treatの原則に従った。主要アウトカムは虚血性脳卒中による死亡率と、薬剤による有害作用、出血、感染症による死亡率であった。固定効果モデル(Mantel-Haenszel)を用いて、統合オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)から総治療効果を推定した。

主な結果: 

参加者625例に関する8件のRCTを検討した。バイアスについて「低リスク」と判定された研究は1件のみであった。計画されたすべての主要および副次アウトカムを検討するには、8件の研究の発表データでは不十分であった。虚血性脳卒中による死亡や、薬剤による有害作用、出血、感染症による死亡アウトカムを報告した研究6件の参加者444例において、死亡した患者はいなかった。研究7件の参加者431例では、プラセボまたは無治療と比較してスタチン治療による総死亡率の低下は認められなかった(OR 1.51、95%CI 0.60~3.81)。研究3件の参加者274例では、横紋筋融解症[筋線維の融解により、筋線維中の成分(ミオグロビン)が血中へ流出する病態]を来した患者はいなかった。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2011.12.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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