血管コントロール下で施行される肝切除術時の虚血性再灌流傷害に対する薬理学的介入と無薬理学的介入との比較

著者の結論: 

トリメタジジン、メチルプレドニゾロン、およびデキストロースは、血管閉塞の下で施行される待機的肝切除時の虚血性再灌流傷害を予防すると思われるが、これらの所見はサンプル・サイズが小さく、バイアス・リスクが高い試験からのものである。これらの薬剤の使用については、臨床診療に先立ち、適切にデザインされたランダム化臨床試験によって再検討されるべきである。

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背景: 

待期的肝切除時に出血を軽減させるために血管閉塞術が使用されているが、その結果、有意な虚血性再灌流傷害が引き起こされる。このことにより、さらに有意な術後肝機能障害および病的状態へとつながることもある。肝切除時の虚血性再灌流傷害を改善させるために様々な薬理学的薬剤が使用されている。

目的: 

術中に血管閉塞術が行われた肝切除時の虚血性再灌流傷害を軽減させるために使用される各種薬理学的薬剤の利益と有害性を無薬理学的介入と比較評価する。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register、コクラン・ライブラリのCochraneCentral Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、およびScienceCitation Index Expandedを2009年1月まで検索した。

選択基準: 

言語や発表の状況にかかわりなく、血管閉塞術を伴う待期的肝切除時の薬理学的薬剤をプラセボまたは無薬理学的薬剤と比較したランダム化臨床試験を含めた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが含める試験を独立に同定し、独自にデータを抽出した。RevMan解析を用いて固定効果およびランダム効果の両モデルでデータを解析した。ITT解析または利用可能な症例分析に基づいて、リスク比(RR)または平均差(MD)と95%信頼区間(CI)を計算した。

主な結果: 

11種類の薬理学的介入(メチルプレドニゾロン、複合ビタミン剤アンチオキシダント注入、ビタミンE注入、アムリノン、プロスタグランジンE1、ペントキシフィリン、マンニトール、トリメタジジン、デキストロース、アロプリノール、およびOKY 046(トロンボキサンA2合成酵素阻害薬))を評価していた計15件のランダム化試験を同定した。試験はすべて、バイアス・リスクが高かった。死亡率、肝不全、周術期の罹病率に群間で有意を認めなかった。トリメタジジン群はコントロール群よりも在院期間が有意に短かった(MD -3.00日、95%CI-3.57~-2.43)。その他の比較でも、臨床的に関連性のあるアウトカムのいずれも有意を認めなかった。メチルプレドニゾロンは肝機能の酵素マーカを改善させ、トリメタジジン、メチルプレドニゾロン、およびデキストロースは、コントロールと比較して、肝障害を示す酵素マーカを低下させた。しかし、含まれた試験は少ししかなく、各試験サンプル・サイズは小さく、バイアス・リスクがあるため、第1型の過誤および第2種の過誤のリスクが高い。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2010.2.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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