新生児での壊死性腸炎に対する抗生物質の使用

壊死性腸炎(NEC)は、主として未熟児が罹患する胃腸疾患である。NECを発症した乳児は急速に重症となる可能性があり、様々な罹病がみられ死亡に至ることさえある。NECの原因は不明であるが、おそらく多因子的である。しかし、感染因子が最も一般的に疑われている。NEC乳児の治療としてさまざまな抗生物質の併用が一般的に使用されている。特定の抗生物質レジメンにより、薬物副作用や抗生物質耐性さえ起こることがある。本研究のレビューアらは、医学文献を検討しNECの治療に対する最良の抗生物質併用療法の確定を試みた。4件の適格な研究を同定したが、これらの研究のうち解析に適していたのは2件のみという所見であった。これらの研究の両方とも実施は1988年以前であった。2件の研究にはNEC乳児62名が組み入れられ、1つの抗生物質レジメンを別のものと比較していた。2群間にはみられなかった。NECの治療に特定の抗生物質レジメンを推奨するエビデンスは不十分であったとレビューアらは結論した。

著者の結論: 

NECの治療に特定の抗生物質レジメンを推奨するエビデンスは不十分であった。狭窄の発症に関連して、クリンダマイシンの使用後の有害な作用について懸念がみられた。本問題に対処するため、大規模なRCTを実施する必要がある。

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背景: 

壊死性腸炎(NEC)の正確な病因は依然として不明であるが、研究では多因子的であると示唆されている。病態生理学的機序として疑われているものは、未熟性、腸管虚血、腸管粘膜の完全性の破壊、人工乳栄養、腸管への高浸透圧負荷、感染およびバクテリアルトランスロケーションなどである。NECの治療には様々な抗生物質レジメンが広く使用されている。

目的: 

異なる抗生物質レジメンがNEC新生児での死亡率および外科手術の必要性に及ぼす有効性を比較すること。

検索方法: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、コクラン・ライブラリ2012年第1号)、Oxford Database of Perinatal Trials、MEDLINE(1966~2012年2月)、EMBASE(1980~2012年2月)、CINAHL(1982~2012年2月)を検索した。

選択基準: 

NECの治療に抗生物質レジメンを使用した、すべてのランダム化比較試験(RCT)および準ランダム化比較試験

データ収集と分析: 

各レビューアが選択について研究の適格性を別々に評価した。Cochrane Neonatal Review Groupの基準と標準的方法を用いて、選択した試験の方法論的質を評価した。

主な結果: 

2件の試験選択基準を満たした。Faix(1988)はNECの放射線学的診断を受けた未熟児42名をランダム化した。未熟児は静脈内投与のアンピシリンとゲンタマイシン併用、またはアンピシリン、ゲンタマイシン、クリンダマイシン併用のいずれかにランダム化された。Hansen(1980)は、NECの乳児20名を静脈内投与のアンピシリン、ゲンタマイシンと経腸投与のゲンタマイシン併用、または経腸投与のゲンタマイシン併用のない静脈内投与のアンピシリン、ゲンタマイシンのいずれかにランダム化した。

Faix(1988)による研究では、2群間に死亡率(RR 1.10、95% CI 0.32~3.83)および腸管穿孔(RR 2.20、95% CI 0.45~10.74)について統計学的はなかったが、クリンダマイシン投与群で狭窄率が高い傾向があった(RR 7.20、95% CI 0.97~53.36)。

Hansen(1980)の研究では、死亡、腸管穿孔、および狭窄の発症について統計学的に有意なは示されなかった。

訳注: 

《実施組織》江藤宏美監訳 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。 [2012.12.27]
《注意》 この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD007448》

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