高血圧に対するコエンザイムQ10

背景

高血圧は一般的な疾患で、心発作、脳卒中、および腎疾患などのリスクを上昇させる可能性がある。コエンザイムQ10は非処方栄養補助食品で、血圧低下が期待される薬品として提案されてきた。今回のレビューが2009年10月に完了、発表されたとき、「対象とした3件の研究の信頼性が低い可能性があるため、原発性高血圧の長期管理において、コエンザイムQ10が血圧を低下させるかどうかは不明である」と結論づけた。

レビューの論点

今回のレビューでは、高血圧患者の血圧に対するコエンザイムQ10の影響をプラセボと比較した。

研究の特性

今回の更新では、コエンザイムQ10が患者の血圧に与える影響を試験した研究について、2015年11月10日までの登録臨床試験および発表済み試験報告のデータベースを検索した。新たな試験が1件見つかり、一方で最初のレビューに組み込んだ試験を1件除外した。これらの研究は、コエンザイムQ10を8~12週間摂取した外来の男女について、コエンザイムQ10血圧に与える影響を調査した。3件の試験のうち1件に、許容範囲を超える高いバイアスのリスクがあると判断され、統合分析からは除外された。2件の統合試験において研究対象となった患者は合計50例であった。

主な結果

2件の試験から得られた統合データから、コエンザイムQ10はプラセボと比較して血圧に影響を与えていないことが示された。有害作用のために服薬を中止した患者数も対象アウトカムとした。3件の試験のうち1件では、コエンザイムQ10は忍容性が良好で、有害作用は報告されなかった。

エビデンスの質

今回のレビューは、コエンザイムQ10は血圧を下げないという中程度の質のエビデンスを提供する。しかし、確実性のために、適正に実施された試験がさらに必要である。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD007435.pub3】

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