糖尿病性腎疾患の人に対する教育プログラム

著者の結論: 

透析を受けているまたは微量アルブミン尿が認められる糖尿病患者に対する教育プログラムは糖尿病に関する患者の知識改善および自己管理行動の変化に有益な効果があると考えられる。糖尿病および微量アルブミン尿が認められる糖尿病患者に対する教育プログラムは患者の自己有効感の改善に有益な効果を示し、結果として考え方が多少変化すると考えられる。しかしながら、本レビューで選択された研究は2件のみで、サンプル・サイズが小さく質が不十分であった。したがって、DKDの人に対する教育プログラムの有益な効果を支持するエビデンスは不十分である。

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背景: 

糖尿病性腎疾患(DKD)患者では複雑なレジメンが遵守されていないことが多い。遵守を強化する介入には集中的な教育や行動カウンセリングが必要である。しかしながら、既存のエビデンスが科学的に厳密であり、DKDにおける教育プログラムをルーチンで実施することの推奨を支持できるかについては、未だ不明である。

目的: 

DKDの人に対する教育プログラムの利益および有害性を評価すること。

検索方法: 

2010年1月にCochrane Renal Group's Specialised Register、CENTRAL、MEDLINE、EMBASE、および4つの中国の医学データベース(CBM-disc、Chinese Science and Technique Journals Database、China National Infrastructure、およびWanFang)を検索した。

選択基準: 

DKDの人に対する教育プログラムの利益および有害性を調査したすべてのランダム化比較試験(RCT)および準RCT。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが、別々に文献を検索し、研究の適格性を判定し、質を評価し、データを抽出および入力した。2値アウトカムをリスク比と95%信頼区間(CI)、また連続データを平均差(MD)または標準化平均差(SMD)として示した。ランダム効果モデルを用いてデータを統合した。

主な結果: 

2件の研究(患者207例)が適格であった。試験は方法論的に質が高くなかった。教育プログラム未実施と比較して、透析を受けている糖尿病患者に対して教育プログラムを実施した場合、次のアウトカムについて患者の知識が改善した:診断(SMD 1.14、95%CI 0.93~1.90)、モニタリング(SMD 1.51、95%CI 1.0~2.01)、低血糖(SMD 1.67、95%CI 1.16~2.17)、高血糖(SMD 0.80、95%CI 0.35~1.25)、インスリン投与(SMD 1.21、95%CI 0.74~1.68)、経口薬(SMD 0.98、95%CI 0.52~1.43)、健康に関する習慣(SMD 1.84、95%CI 1.33~2.36)、食事(SMD 0.53、95%CI 0.09~0.97)、運動(SMD 1.13、95%CI 0.67~1.60)、慢性合併症(SMD 1.28、95%CI 0.80~1.75)、および糖尿病との生活およびストレスへの対応(SMD 0.71、95%CI 0.26~1.15)。 糖尿病および微量アルブミン尿が認められる患者に対して教育プログラムを実施した場合、次のアウトカムについて一般知識が改善した:糖尿病(SMD 0.84、95%CI 0.43~1.26)、治療終了時点での患者の全体的な自己有効感(MD 19.00、95%CI 12.58~25.42)および治療有効性の考え方における患者の変化(MD 0.25、95%CI 0.07~0.43)、一般知識(MD 14.39、95%CI 7.45~21.33)、自宅での血糖値モニタリング(HBGM) における特異的な自己有効感(MD 11.28、95%CI 1.92~20.64)、並びに3カ月のフォローアップ終了時点での個人管理に関する考え方の変化(MD 0.31、95%CI 0.01~0.61)。 透析を受けている糖尿病患者に対する教育プログラムでも次の自己管理行動における改善が認められた:足のチェック(RR 1.63、95%CI 1.01~2.63)、ローションの使用(RR 9.71、95%CI 2.45~38.56)、並びに適切な靴および靴下の着用(RR 4.39、95%CI 1.87~10.32)。糖尿病および微量アルブミン尿が認められる患者に対する教育プログラムでは、次の行動が改善した:通常食(MD 0.73、95%CI 0.10~1.36)、特別食(MD 1.02、95%CI 0.42~1.62)、および治療終了時点でのHBGM(MD 2.13、95%CI 1.18~3.08)、特別食(MD 0.62、95%CI 0.18~1.06)および3ヵ月のフォローアップ終了時点でのHBGM(MD 1.48、95%CI 0.48~2.48)。 腎機能の変化、心血管系イベントの罹患率、患者の姿勢の変化、および有害事象に関するデータは得られなかった。

訳注: 

監  訳: 曽根 正好,2011.11.1

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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