嚢胞性線維症の小児および成人に対するビタミンD製剤の定期的使用

膵機能不全を伴う嚢胞性線維症は、ビタミンDなどの脂溶性ビタミン類の吸収が不良であるということを意味し得る。これにより、ビタミン欠乏による障害が生じ得る。ビタミンDが欠けていること(ビタミンD欠乏)が原因で骨変形や骨折などの特定の問題が生じることがある。全身および呼吸器の健康状態不良にも関連し得る。そのため、嚢胞性線維症患者には、通常非常に若年からビタミンD製剤を定期投与する。しかし、ビタミンDが過剰になると、呼吸器障害および高カルシウム濃度による障害が起こることもある。本レビューには6件の研究が含まれるが、解析できたのはこのうち3件のデータのみであった。3件は学会大会抄録としてのみ刊行された。

含まれた研究では、質、ビタミンD投与量、投与期間、測定されたアウトカムに大きな違いがあった。3件は小児を対象とし、3件は青年および成人を対象とした。比較可能なアウトカムデータはほとんどなかった。2、3件の研究からのデータを含む唯一のアウトカムはビタミンD濃度であった。レビューアらの解析では、ビタミンD補助食品の投与を受けた人においてビタミンD濃度上昇が示された。その他のアウトカムに関しては、嚢胞性線維症患者にビタミンDを定期投与することは有益なのか否かを示すエビデンスは見出せなかった。ビタミンD補助食品の日常的投与に関して結論を導き出すことはできず、さらなるエビデンスが出るまで地域のガイドラインに従うことを推奨する。

著者の結論: 

ビタミンD補充を受けている患者では、25-ヒドロキシビタミンD濃度は有意に高かった。しかし、発表された数が限られた小規模の研究では、臨床上の利益または害のエビデンスはない。さらなるエビデンスが得られるまで、ビタミンD補充に関する関連の嚢胞性線維症ガイドライン遵守を考慮すべきである。

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背景: 

嚢胞性線維症(CF)は、多臓器に影響する遺伝性疾患である。膵機能不全を有するサブグループでは、脂溶性ビタミン類(A、D、E、K)の吸収不良が生じる可能性がある。ビタミンDはカルシウムの恒常性と骨の鉱化作用に関与し、骨外性の影響をもつ可能性がある。本レビューでは、嚢胞性線維症におけるビタミンD補充のエビデンスを検討する。

目的: 

嚢胞性線維症集団を対象として、ビタミンD補充がビタミンD欠乏症の頻度、呼吸器のアウトカム、ビタミンDの有害性に及ぼす影響を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Cystic Fibrosis and Genetic Disorders Group Trials Registerを検索したが、それは総合的電子データベース検索と関連雑誌および学会紀要の抄録集のハンドサーチにより同定された参考文献からなる。

Group’s Cystic Fibrosis Trials Registerの最新検索日:2013年7月8日

選択基準: 

膵外分泌機能に関わらず嚢胞性線維症集団を対象としてビタミンD補充をプラセボと比較するランダム化および準ランダム比較試験

データ収集と分析: 

2名の著者が独立して、選択された各研究バイアスのリスクを評価し、アウトカムデータを(発表された研究情報から)抽出し、骨の鉱化作用、成長および栄養状態、ビタミンD欠乏症の頻度、呼吸状態、QOL、有害事象を評価した。

主な結果: 

6件の試験(参加者239例)が含まれたが、嚢胞性線維症成人患者および小児患者69例のデータが解析用に得られたのは3件のみであった。1件目の研究では、嚢胞性線維症成人患者で膵機能不全を有する30例を対象として、呼吸悪化による入院時、高用量ビタミンD(250,000 IU)単回投与をプラセボと比較した。2件目の研究では、骨減少症の膵機能不全成人患者30例を対象として、12カ月間、追加のビタミンD 800国際単位(IU)の投与をプラセボと比較した。両群ともビタミンD 900 IU/日を継続した。3件目の研究では、二重盲検クロスオーバー研究により、追加のカルシウム1 g単独、ビタミンD 1600 IU単独、ビタミンD 1600 IUとカルシウム1 g併用とプラセボを比較した。6カ月間のビタミンD補充と3カ月間の休薬期間後のプラセボ投与の両方を完了した9例の小児のみが含まれている。参加者の膵機能不全または疾患の状態は定義されていない。補充、アウトカムの報告、おそらく参加者の特性(肺疾患の重症度、成長および栄養状態、膵機能不全)が異なるため、研究直接比較はできない。

2件の研究を超えるデータを統合できた唯一のアウトカムは、25-ヒドロキシビタミンD濃度であった。ビタミンD補充を受けた患者では有意に高く、平均差7.24 ng/ml(95%信頼区間5.01 ~9.46)であった。しかし、皮肉なことに1件の研究では、1,25(OH)2Dはプラセボ群で有意に勝る濃度が報告され、平均差-30.30 pmol/ml(95%信頼区間-59.89 ~ -0.71)であった。2件では骨密度が測定され、両試験ともに群間での有意な変化の記述はなかった。いずれの研究でも有害事象はなかった。

残りの3件は抄録としてのみの発表で、解析用データは得られなかった。これらの抄録には以下の内容が含まれていた。膵機能不全小児患者および若年成人患者を対象としたカルシトリオール(0.25または0.5マイクログラム)毎日投与をプラセボと比較する研究における介入前データの報告、嚢胞性線維症成人患者67例を対象としたビタミンD 5000 IUの冬季12週間毎日投与を検討する二重盲検ランダム化比較試験の中間報告、嚢胞性線維症で低骨密度の小児患者42例を対象とした3カ月間のビタミンD補充(投与量は明記されていない)が骨密度に及ぼす影響のプラセボとの比較。

すべての研究間でバイアスのリスクは大きく異なっていた。1件の研究のみが5項目の主要基準(ランダム化順序の生成、割付け、盲検化、減少、報告)において低リスクであった。それ以外の研究バイアスのリスクが不明または高リスクであった。2件の研究では盲検化バイアスが低リスク、あとの2件は減少バイアスが低リスクであった。抄録として刊行された研究では、多くの点でバイアスのリスクの評価が不明確であった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.2]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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