多発性硬化症(MS)患者での疲労に対するカルニチン

疲労は多発性硬化症に関連することが多く、そのため重大な能力低下や生活の質の低下が生じる。数種類の介入が実施されているが、相対的な有効性および忍容性に関する確実なエビデンスは得られていない。つい最近、カルニチン低濃度と疲労が関係するという仮説が提唱され、数件の研究によりカルニチン補充によって疲労症状が改善したと示された。そのため、再発性弛張性MSおよび二次進行型MS患者を対象に、疲労改善でのカルニチン有効の可能性を評価し、あらゆる有害事象を同定するためシステマティック・レビューを実施した。大半の研究は、方法論的質の選択基準を満たさなかったが、患者36名を組み入れカルニチンとアマンタジンとの併用という介入を12ヵ月間実施した1件の研究を認めた。アマンタジンは疲労改善によく用いられるもう一つの薬剤である。 MS患者でのカルニチン補充により疲労が改善し、疲労からくる能力低下が減少する、あるいは生活の質が改善するかについて、本報告からは不明であった。MS関連疲労でのカルニチン使用が安全かについても不明であった。

著者の結論: 

MS関連疲労の治療に対するカルニチンはプラセボまたは実薬対照よりも治療的に優れているというエビデンスは不十分であった。進行中試験の結果により、明確なエビデンスが得られることが切望される。

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背景: 

疲労は、多発性硬化症(MS)の92%に上る患者に生じると報告されており、MS患者の28~40%はすべてのMS症状のうち最も患者を衰弱させる症状であると述べている。

目的: 

MS関連疲労患者においてカルニチン(経腸的または静脈内投与)補充により生活の質が改善し疲労症状が減少するかを評価し、本目的で使用したカルニチンのあらゆる有害作用を同定すること。

検索方法: 

Cochrane MS Group Trials Register(2011年9月9日)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)「コクラン・ライブラリ2011年第3号」、MEDLINE(PubMed)(1966~2011年9月9日)、EMBASE(1974~2011年9月9日)および進行中の試験の検索にwww.clinicaltrials.govを用いて文献検索を実施した。レビュー論文および主要研究の参考文献リストも調査した。関連性のある最近の学会の抄録集もハンドサーチした。他の臨床試験について知っているか確認するため、MS専門家とカルニチン製剤製造会社(Source Naturals、米国)に連絡を取った。言語の制限は設けなかった。

選択基準: 

多発性硬化症関連の疲労と臨床的に診断された多発性硬化症成人患者を対象に、あらゆるカルニチン介入についてのランダム化比較試験(RCT)と準ランダム化試験の発表・未発表全文報告を選択した。

データ収集と分析: 

適格性試験からのデータを抽出し標準化データ抽出フォームを用いてコード化しRevMan5に入力した。第三のレビューアとの討議により不一致を解決することとしたが、これは必要とならなかった。評価の対象とした質に関する項目は、ランダム化の方法、割りつけの隠蔵化(コンシールメント)、盲検化(参加者、治験責任医師、アウトカム評価者、データ解析)、ITT解析、フォローアップの完全性であった。

主な結果: 

検索により、1件の進行中のランダムプラセボ対照クロスオーバー試験(2013年終了予定)と1件の完了したランダム化実薬対照クロスオーバー試験を同定した。完了した研究では、

訳注: 

監  訳: 林 啓一,2012.9.27

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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