不妊症カップルにとって、人工授精のタイミングを決める最適な方法は何か

レビューの論点コクランの著者らは、不妊症カップルに対する人工授精において、タイミングを決める様々な方法の有効性に関するエビデンスをレビューした。

背景最低1年以上経っても妊娠に至らなかったカップルは、不妊症と定義される。妊娠を望むカップルのおよそ10%が不妊症である。不妊症カップルにとって、人工授精(IUI)は一つの治療方法である。これは、女性の月経周期の特定の時期(できるだけ排卵に近い時期)に精子を子宮内に直接注入する生殖補助技術である。人工授精を実施するタイミングを決める方法がどのような治療結果をもたらし、健康な赤ちゃんの出産につながるのかは、依然として不明なままである。人工授精のタイミングは、尿や血液中の黄体化ホルモン(LH)の検出、またはヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の注射で決めることが最も多い。尿中LHモニタリングは、偽陰性の可能性があるため、タイミングが不正確になり妊娠率が大きく低下する可能性がある。一方、自宅で簡便に検査ができ、低価格、侵襲性がないことは長所である。超音波検査やhCG投与によるタイミング決定の欠点は、頻繁に通院する必要があること、LHサージの時期が尚早になる可能性、すなわち未熟な卵胞が存在するにも関わらず排卵を誘発してしまう可能性があることである。hCG法の大きな利点は、臨床的に排卵の予測が可能である点である。

試験の特性18件のランダム化比較試験を同定した。いずれの試験も、単回の治療周期における人工授精で異なるタイミング決定方法を比較しており、対象は合計2279組のカップルであった。エビデンスは2013年10月現在のものである。

主要な結果タイミング決定方法によって、出生率にがあるというエビデンスは見出されなかった。また、妊娠率や有害事象(多胎妊娠、流産、卵巣過剰刺激症候群(OHSS))についても、どの群間にも違いは見られなかった。

エビデンスの質ほとんどのエビデンスは質が低いか非常に低かった。主な限界は、研究方法の報告が不十分であること、不正確性、追跡調査の不足であった。さらなる研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子 内藤未帆 翻訳[2020.07.27]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006942.pub3》

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