糖尿病性腎症の進行を予防するためのプロスタグランジンE1

著者の結論: 

PGE1は、重篤な有害事象を伴わずに、UAERを低下させ、アルブミン尿を減じ、蛋白尿を軽減することにより、DKDにポジティブな効果を有する可能性がある。しかし選択した研究の方法論的な質が不良であることや参加者数が少ないことによる制約があるため、PGE1はDKDの進行予防に用いることができるかどうかを確定するには現在不十分なエビデンスしかない。大規模で適切にランダム化されたプラセボ対照の二重盲検研究が緊急に必要である。

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背景: 

糖尿病性腎症(DKD)は糖尿病における重要な慢性細小血管合併症のひとつであり、末期腎疾患(ESKD)へ進行することがある。DKDを予防する、発症を遅らせる、あるいは、治療するための明確に有効なアプローチはない。複数の小規模研究が、プロスタグランジンE1(PGE1)は腎血液循環を改善し、蛋白尿やアルブミン尿を軽減できることを示している。

目的: 

DKDの進行を予防するためのPGE1の有益性と有害性を評価する。

検索方法: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、Chinese Biomedicine Database(CBM)、および、論文の参考文献リストを、言語を制限せずに検索した。

選択基準: 

用量、投与法、共介入付加、治療期間に関係なく、DKD進行を予防するために用いられたなんらかのPGE1製剤を比較しているすべてのランダム化比較試験(RCT)または準RCT。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独立に研究の質を評価し、データを抽出した。二値アウトカム(総死亡率、ESKD)に対して、結果を相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)として表わした。連続アウトカム(微量アルブミン尿、蛋白尿、アルブミン尿、血清クレアチニン倍化、血清クレアチニン)を平均差(MD)と95%CIとして表わした。

主な結果: 

6件の研究(患者271例)を選択した。5件の研究がPGE1±フォシノプリル/ロサルタンとフォシノプリル/ロサルタンまたは無治療を比較し、1件の研究がPGE1とXueshuantong(中国の薬草)を比較した。PGE1投与患者において尿中アルブミン排泄率(UAER)が有意に低下し(MD -48.28 μg/分、95%CI -75.29~-21.28)、他のアウトカムでもPGE1群で有意な低下を示した(アルブミン尿:MD -143.66 mg/24時間、95%CI -221.48~-65.84;蛋白尿:MD -300 g/24時間、95%CI -518.34~-81.66)。臨床的DKD(CDN、DNのIII期)において、PGE1はXueshuantongと比較して、アルブミン尿に対しポジティブな効果があった(MD -660 mg/24時間、95%CI -867.07~-452.93)。ESKD発生率、総死亡率、QOL(quality of life)に関するデータは入手可能でなかった。

訳注: 

監  訳: 曽根 正好,2011.3.1

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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