慢性腎疾患の小児に対する蛋白制限

低蛋白食は腎疾患の成人で腎不全の進行を遅延させることがあるが、小児では発育不全の懸念がある。本レビューでは腎疾患の小児を対象とした2件の研究(小児250例)を同定したが、低蛋白食は腎不全(末期腎疾患)の進行を遅延させないことがわかった。成長に対する有害作用について複数の懸念がある。

著者の結論: 

蛋白摂取量を減らしても、小児のESKDの進行遅延には有意な影響を与えないとみられる。

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背景: 

蛋白制限は慢性腎疾患(CKD)の患者に対し当面指示されてきた。低蛋白食について、小児の末期腎疾患(ESKD)の進行遅延に対する効果や、成長と栄養に対する影響については解明されていない。

目的: 

小児における持続的透析の開始遅延や栄養維持に対する蛋白制限食の有効性を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Renal group 試験登録、Cochrane Central register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE、EMBASE、および腎臓病学の教科書、総説、関連性のある研究の参考文献リストを調べた。

選択基準: 

蛋白制限食(WHOが安全とする推奨量まで制限)と非制限食を比較し、少なくとも6カ月間の追跡調査を実施したランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名の著者がそれぞれ研究を選択した。ランダム効果モデルにより統計的解析を実施した。二値アウトカムの結果は、リスク比(RR)と95% 信頼区間(CI)として示す。治療効果の評価に連続的な測定スケールを用いる場合は、平均差(MD)として示す。

主な結果: 

同定した2件の研究(小児250例)では、124例が蛋白制限食、126例がコントロール食であった。以下について有意差はみられなかった。腎死数:RR 1.12、95% CI 0.54~2.33。腎疾患の進行(2年時点のクレアチニンクリアランス):MD 1.47、95% CI -1.19~4.14。成長:体重 - MD -0.13、95% CI -1.10~0.84。身長 - MD -1.99、95% CI -4.84~0.86。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.28]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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