潰瘍性大腸炎の寛解導入のためのI型インターフェロン

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著者の結論: 

現時点の文献から、潰瘍性大腸炎患者の寛解導入のためのI型IFNの有効性を裏付けるデータはない。IFN療法の忍容性の問題を考慮し、潰瘍性大腸炎においてI型IFNに関するさらなるランダム化比較試験を展開または実施する前に、実施中の試験2件の結果からの有効性と安全性の評価を提案する。

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背景: 

インターフェロン(IFN)は免疫調節特性を有するサイトカインであり、多数の慢性炎症性疾患を成功裏に治療するために使用されている。I型IFNは潰瘍性大腸炎のようなTh2優勢疾患においてTh1/Th2バランスを再確立できると仮定されている。

目的: 

潰瘍性大腸炎の寛解導入のためのI型IFN療法の有効性と安全性をシステマティックに評価する。

検索戦略: 

以下の電子データベースを検索した:MEDLINE、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Inflammatory Bowel Disease and Functional Bowel Disorders (IBD/FBD) Group Specialised Trial Register、http://ClinicalTrials.gov。試験とレビュー論文の参考文献リストおよび主要な消化器病学会の最近の大会予稿集をマニュアルで検索した。I型IFNを製造している製薬企業に問い合わせた。

選択基準: 

潰瘍性大腸炎の寛解導入のためのI型IFNに関するランダム化比較試験を含めた。研究対象集団にはあらゆる年齢の活動性潰瘍性大腸炎患者が含まれた。IFN治療の種類、投与量、投与期間に基づく除外は行わなかった。主要アウトカムは潰瘍性大腸炎の寛解導入とした。副次アウトカムには、寛解までの時間、クローン病活性指数の平均スコア変化、臨床的、組織的または内視鏡的改善、生活の質の改善、有害事象が含まれた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが研究の適格性を独自にレビューし、データを抽出し、Jadadの基準を用いて研究の質を評価した。異質性の評価に基づいてランダム効果モデルまたは固定効果モデルを選択し、適宜DerSimonian & Laird法またはMantel-Haenszel法を用いて重み付けを行った。RevMan 4.2.10ソフトウェアを用いてメタアナリシスを行った。

主な結果: 

4件の研究が適格と判断され選択された。3件の研究はI型IFNをプラセボと比較しており、1件の研究は左側大腸炎患者においてIFNをプレドニゾロン注腸と比較していた。3件のIFN-プラセボ研究に基づいてメタアナリシスが行なわれた。潰瘍性大腸炎の寛解導入について、I型IFNにはプラセボを上回る有意な利益はなかった(RR1.24、95% CI 0.81~1.90)。副次アウトカム変数のいずれについても統計学的に有意な差はなかった。