動脈瘤性クモ膜下出血に対するチリラザド

著者の結論: 

動脈瘤性SAH患者において、ニモジピンに追加されるチリラザドは死亡率を低下させる、あるいは、不良アウトカムを改善するというエビデンスはない。

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背景: 

動脈瘤性クモ膜下出血(SAH)患者において、遅延性脳虚血は不良アウトカム(死亡や能力障害)の重要な寄与因子である。急性脳虚血の動物モデルにおいて、チリラザドは神経保護性質を有すると考えられている。

目的: 

動脈瘤性SAH患者におけるチリラザドの有効性と安全性を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(最終検索2009年10月);Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ 2009年第2号);MEDLINE(1966年~2009年10月);EMBASE(1980年~2009年10月);およびStroke Trials Directory, the National Center for Complementary and Alternative Medicine, and the National Institute of Health Clinical Trials Database(検索2009年10月)を検索した。中国の雑誌10誌をハンドサーチし、関連発表の参考文献リストを検索し、チリラザドの製造業者に連絡を取った。

選択基準: 

血管造影およびコンピュータ断層撮影法(CT)スキャンまたは脳脊髄液検査あるいは両者により実証された動脈瘤性SAHを有する患者を対象として、SAH発症4日以内に開始されるチリラザドを、プラセボまたはオープンコントロールと比較しているランダム化試験

データ収集と分析: 

致死率、不良アウトカム(死亡、植物状態、重度の能力障害)、遅延性脳虚血(または症候性血管攣縮)、脳梗塞、治療有害事象関連するデータを抽出した。2値データに対してPeto固定効果法を用いてデータを統合した。

主な結果: 

3,821例の患者を対象とした5件の二重盲検プラセボ対照試験を選択した;有意な異質性はなかった。すべての試験で両群においてニモジピン経口投与あるいは静脈内投与がバックグラウンド治療としてルーチンに用いられた。フォローアップ終了時、主要アウトカムで死亡(オッズ比(OR)0.89、95%信頼区間(CI)0.74~1.06)あるいは不良アウトカム(死亡、植物状態、または、重度の能力障害)(OR 1.04、95%CI 0.90~1.21)に2群間で有意はなかった。治療期間中、遅延性脳虚血を生じた患者の数は、チリラザド群においてコントロール群よりも少なかった(OR 0.80、95%CI 0.69~0.93)。サブグループ解析は、臨床的アウトカムに対するチリラザドの効果に有意を示さなかった。高用量のチリラザドを評価した1件の試験においてのみ白血球増多およびQT間隔延長の発現頻度は、治療群で有意に高かった。注射部位障害や他の臨床検査指標に2群間で有意はなかった。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2010.11.18

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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