この要約で「人」という言葉を使うときは、現在妊娠する能力のある個人を意味する。
要点
傍頸管ブロック、子宮頸部の周囲に局所麻酔を注射する方法は、妊娠第一三半期の流産手術の痛みを軽減する。
いくつかの研究で、注射の深さや注射部位の数など、傍頸管ブロックを最適化する方法が検討されている。
全体的に、疼痛コントロールについての満足度は中程度に高く、副作用は少ないと報告された。
妊娠第一三半期の流産手術とは
妊娠第一三半期の流産手術とは、訓練を受けた医療従事者が14週未満の妊娠を終結させるために行う医療行為である。世界では1年あたり7300万件の流産手術が行われている。手術は痛みを伴うため、効果的な疼痛管理を行うことが重要である。
何を調べようとしたのか?
この痛みに対する最適な疼痛管理法は不明である。我々は局所麻酔の種類や使用方法などの疼痛緩和に関するエビデンスに関心があった。
さらに、疼痛管理が満足いくものか、副作用が報告されているかを知りたかった。
何を行ったのか?
妊娠14週までにおける流産手術の様々な疼痛管理の選択肢を比較した研究について、医学データベースを検索した。研究結果を要約、比較し、研究の方法や規模などの要因に基づいてエビデンスに対する信頼性を評価した。
何が見つかったのか?
1,992人を対象とした13件の研究が見つかった。すべての研究は5か国(米国、カナダ、トルコ、中国、イラン)の病院または家族計画クリニックで実施された。これらの研究は異なる方法の局所麻酔を検討していた。
主な結果
傍頸管ブロックは流産手術の痛みを軽減する。
いくつかの研究で、傍頸管ブロックの最も良い方法が検討されている。より酸性の低い溶解液を用いること、注射から手術まで長く待つこと、注射の代わりにジェルを塗ること、より深く注射すること、より多く使用することには利点がなかった。
全体的に、疼痛コントロールについての満足度は中程度に高く、副作用は少ないと報告された。
エビデンスの限界は何か?
同じ治療について比較した研究は少なかった。このため、結果を比較することはほとんどできなかった。エビデンスの信頼度は高いものから不明瞭なものまであった。これは例えば、群間で痛みの差が非常に小さかったり、7週程度の非常に初期の妊娠が含まれていたりしたためである。
このレビューの更新状況
このエビデンスは2022年12月現在のものである。
《実施組織》内藤未帆、小林絵里子 翻訳[2024.06.24]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD006712.pub3》