先天性代謝異常に対するカルニチン補充

先天性代謝異常はさまざまな症状の遺伝性疾患である。これらは、しばしば出生時や出生直後に発症するが、成人期に初発する場合もある。患者は生涯を通じて疾患の症状と向き合わなければならないこともある。症状はしばしば非特異的で、あらゆる臓器に影響することがある。先天性代謝異常の診断は難しい場合がある。しかし、早期発見が重要であり、フェニルケトン尿症など乳児の疾患に対するスクリーニングが複数の国々で定期的に行われている。先天性代謝異常が確定した患者には、標準治療と併用して、食事に追加するカルニチンサプリメントの処方が推奨されている。カルニチンサプリメントには錠剤、経口液剤、小児用液剤、注射剤があり、食事と一緒に服用すると楽に投与できる。残念だが、本レビューで選択すべき良質な試験はなかった。これは、カルニチンに効果がないことを意味するのではなく、先天性代謝異常への使用を否定するわけでもないが、カルニチンを使用する患者を注意深く観察・監視するべきである。そのため、臨床医が臨床経験に基づき、患者の選択を考慮して、カルニチンの処方を判断することを推奨する。将来的には、患者報告アウトカムを含む、国際的に認められる有効な規模で試験を行うべきである。治療に関する有害事象の報告は必ず行われなければならない。カルニチントランスポーター欠損症やグルタル酸尿症1型など、致命的な可能性のある疾患を対象としたプラセボ対照試験の倫理性については、慎重に検討しなければならない。

著者の結論: 

本レビューの課題に関連性のある、発表済みまたは継続中のランダム化比較臨床試験はない。そのため質の高いエビデンスがなく、臨床医は臨床経験に基づいて判断し、必要に応じて個人の選択を加味しなければならない。これは、カルニチンに効果がないことを意味するのではなく、先天性代謝異常への使用を否定するわけでもない。しかし、カルニチンの有効性と安全性や、処方すべき用量と頻度に関するエビデンスがないため、さらなるエビデンスが得られるまで、今のところ処方する際には注意深い観察と監視を継続する必要がある。Consolidated Standards of Reporting Trials(CONSORT)声明に準拠して報告された、方法論的に健全な試験が求められる。カルニチントランスポーター欠損症やグルタル酸尿症1型など、致命的な可能性のある疾患を対象としたプラセボ対照試験の倫理性について検討しなければならない。

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背景: 

先天性代謝異常は遺伝性疾患であり、蛋白、炭水化物、脂質の合成や代謝に異常を来すことがある。乳児に代謝疾患が疑われる場合は、特に検査結果を待つ間の経過措置として、カルニチン補充をすべきであると提唱されてきた。カルニチン補充は、原発性カルニチン欠乏症の治療に用いられるが、カルニチン欠乏症が小児や成人の先天性代謝異常(有機酸血症や脂肪酸酸化障害など)の続発性合併症である場合にも用いられる。

目的: 

先天性代謝異常の治療におけるカルニチン補充の有効性と安全性を評価すること。

検索方法: 

Cystic Fibrosis and Genetic Disorders Group's Inborn Errors of Metabolism Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ2007年、第4号)、OvidのMEDLINE(1950年~2007年7月第4週)、LILACS(2008年5月15日)、Iranmedex(2008年5月15日)、および得られた論文の参考文献リストを検索した。

Group's Inborn Errors of Metabolism Registerの最新の検索日は2011年10月27日である。

選択基準: 

先天性代謝異常と診断された小児および成人を対象に、カルニチン補充(用量、頻度、期間が異なる)とプラセボを比較したランダム化比較試験および準ランダム化比較試験

データ収集と分析: 

2名の著者がそれぞれ試験を選択し、同定した試験の適格性を評価した。

主な結果: 

本レビューで選択した試験はなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD006659 Pub3

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