歯科治療環境での食事習慣を変えるための介入

不健康な砂糖摂取習慣はむし歯の発生率の高さに関係があり、炭酸飲料の摂取習慣は歯のエナメル質溶解(歯牙酸蝕症)に関係していることが知られています。歯科チームのメンバーは病気を減らすために改善できることを強調し、日常的に患者さんの食生活を評価しています。このアドバイスは口腔の健康だけではなく、全身の健康に影響を与える食生活の問題にも広がっているかもしれません。特定の食習慣が病気を引き起こすことはよく知られていますが、患者さんが与えられたアドバイスに注目し、結果として食生活が変えるかどうかはほとんど知られていません。このレビューの目的は、歯科医師や他の歯科スタッフの努力によって、患者さんが食生活を変えることに成功しているかどうかを明らかにすることです。 私たちは、口腔外科などで食生活のアドバイスを与えた研究や、個別の患者に対して一人の歯科スタッフがアドバイスをした研究に限定してレビューを行いました。 その結果、5つの研究が見つかりました。これらのうち2つの研究は、全身の健康に関連した食生活アドバイスに注目したものでした(1つはアルコール摂取量について、もうひとつは果物と野菜の摂取量についてでした)。これらの研究では、アドバイス後により健康的な食生活に変化していました。 私たちは、むし歯を減らすために砂糖の摂取量を変えようと努力した3つの研究も見つけました。しかし、これらのうち2つの研究では、例えば歯磨きに関する、違うタイプ、違う形式のアドバイスが同時に与えられていました。そのため、食生活の変化が食事アドバイスによって起こったものか、それ以外のメッセージの微妙な影響によるものか、明らかにすることはできませんでした。例えば、歯磨きに関するアドバイスによって、患者さんが口腔の健康をより意識したため、食生活が変わった可能性があります。砂糖の消費量に関する研究のほとんどは、比較的質の低いものでした。砂糖の摂取量を変えることを目的とした食生活アドバイスに関する証拠は少ないです。この分野については、さらに研究を行う必要があります。

著者の結論: 

歯科治療時に一対一の食事療法介入を行うことによって食事行動が変化するといういくつかの根拠がみつかった。しかしそれらの根拠は、砂糖の摂取量を変えることよりも、果物や野菜とアルコール摂取量を変えることを目的としたものが多かった。特に歯科治療現場に準じた、研究デザイン、統計解析ならびに報告方法など、より方法論的な厳密さをもった、さらなる研究が必要であろう。

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背景: 

歯科治療の現場は、患者管理の一環として食事評価とアドバイスを提供する適切な場所である。しかし、それが食事行動を変えるのに有効であるかはわかっていない。

目的: 

歯科治療現場で行う一対一の食事介入が、食事行動を変えるのに有効であるかを、すべての年齢層において評価すること。その後の口腔と全身の健康の変化について、食事介入の有効性も評価した。

検索方法: 

Cochrane Oral Health Group Trials Register(2012年1月24日まで)、 Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(Cochrane Library 2012、Issue 1)、MEDLINE(1950年から2012年1月24日)、EMBASE(1980年から2012年1月24日)、CINAHL(1982年から2012年1月24日)、PsycINFO(1967年から2012年1月24日)、Web of Science(1945年から2011年4月)の電子データベースを検索した。また主要な会議録(2000年から2011年7月13日までのIADRとORCA)も電子検索に含めた。関連する論文の文献リストと学位論文(1861年から2011年にオンラインで発表されている抄録)も検索した。未発表の内容を確認するために、適格基準に合った論文の著者とコンタクトをとった。

選択基準: 

歯科治療現場で実施された一対一の食事介入の有効性を評価するランダム化比較試験

データ収集と分析: 

抄録のスクリーニング、適格性のスクリーニングおよびデータ抽出の決定は、2人のレビューアによって個別に2回行われた。レビューアの意見が別れた場合、コンセンサスは議論して得るか、または第三のレビューアの意見によって合意を得た。

主な結果: 

5つの研究がレビューの適格基準を満たしていた。そのうち2つの研究は、食事行動の変化に関するデータが報告されていたものの、予防のための広範プログラムの一つとして食事介入を行なったマルチ介入研究であった。単一介入研究の一つは、う蝕予防に関係していた。他の二つの研究は全身の健康状態に関するアウトカムに関係していた。歯の酸蝕症を予防することを目的とした食事行動の変化に関係した研究はなかった。5つのうち4つの研究では、プライマリーアウトカム変数の少なくとも1つで、食事行動の有意な変化が認められた。

訳注: 

監  訳: 大野 彩,豊島 義博,JCOHR,2012.10.31

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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