女性の緊張性尿失禁に対する合成素材による低侵襲尿道下スリング手術

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著者の結論: 

最新のエビデンスの根拠から、合成素材による低侵襲尿道下スリング手術は短期的には伝統的な尿道下スリング、開創恥骨後式膀胱頸部挙上術および腹腔鏡下膀胱頸部挙上術と同様に有効であり、術後合併症はより少ないことが示唆されている。(恥骨後式よりも)閉鎖孔を介して施行された手術後の女性の方が尿失禁となる可能性が低く、合併症も少なかった。ほとんどの試験は追跡期間が短かく、エビデンスの質はさまざまであった。

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背景: 

緊張性尿失禁(SUI)は、30%にのぼる女性が罹る一般的によくみられる状態である。合成素材による低侵襲尿道下スリング手術は、SUIの治療に導入されている最新の処置法のひとつである。

目的: 

女性のSUI、urodynamic stress incontinence(USI)または混合性尿失禁(MUI)を治療するための合成素材による低侵襲尿道下スリング手術の効果を評価する。

検索方法: 

Cochrane Incontinence Group Specialised Register(検索2008年3月20日)、MEDLINE(1950年1月~2008年4月)、EMBASE(1988年1月~2008年4月)、CINAHL(1982年1月~2008年4月)、AMED(1985年1月~2008年4月)、英国National Research Register、ClinicalTrials.gov、関連性のある論文の参考文献リストを検索した。

選択基準: 

SUI、USI、あるいは緊張性または混合性尿失禁の症状のある女性を対象に、少なくとも1試験群で合成材による低侵襲尿道下スリング手術としたランダム化比較試験または準ランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが適格と思われる研究の方法論の質を評価し、含まれた試験から独立にデータを抽出した。

主な結果: 

7,101例の女性を対象とした試験62件を含めた。大半の試験でエビデンスの質は中等度であった。合成素材による低侵襲尿道下スリング手術は伝統的な尿道下スリングと同程度に有効であると考えられたが(試験n=599、リスク比(RR)1.03、95%信頼区間(CI)0.94~1.13)、手術時間は短く、術後排尿機能障害および新規の尿意切迫症状は少なかった。合成素材による低侵襲尿道下スリング手術は開創恥骨後式膀胱頸部挙上術と同程度に有効であると考えられ(12ヵ月時点の自覚的治癒率RR 0.96、95%CI 0.90~1.03、5年時点RR0.91、95%CI 0.74~1.12)、スリング手術のほうが周術期の合併症が少なく、術後排尿機能障害も少なく、手術時間および在院期間が短かったが、膀胱穿孔は有意に多かった(6%対1%、RR4.24、95%CI 1.71~10.52)。短期間での腹腔鏡下膀胱頸部挙上術との比較で、合成素材による低侵襲尿道下スリング手術の有効性について相反するエビデンスがあった(客観的治癒RR 1.15、95%CI1.06~1.24。自覚的治癒RR 1.11、95%CI 0.99~1.24)。合成素材による低侵襲尿道下スリング手術は新たに起こる尿意切迫および切迫性尿失禁が有意に少なく、手術時間、在院期間および日常活動に復帰するまでの期間が短かった。恥骨後式bottom-to-top経路はtop-to-bottom経路よりも有効であり(RR 1.10、95%CI 1.01~1.20。RR 1.06、95%CI1.01~1.11)、排尿機能障害、膀胱穿孔、テープびらんは有意に少なかった。モノフィラメントテープは、マルチフィラメントテープと比較して、客観的治癒率が有意に高く(RR 1.15、95%CI 1.02~1.30)、テープびらんは少なかった(1.3%対6%、RR0.25、95%CI 0.06~1.00)。客観的治癒については、閉鎖孔経路は恥骨後経路ほど良好でなかったが(84%対88%、RR 0.96、95%CI 0.93~0.99、17件の試験、n=2,434)、自覚的治癒率は両者で差がなかった。しかし、閉鎖孔経路の方が排尿機能障害、出血、膀胱穿孔が少なく(0.3%対5.5%、RR0.14、95%CI 0.07~0.26)、手術時間も短かった。

訳注: 

監  訳: 内藤 徹,2010.2.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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