女性パートナーを身体的に虐待する男性に対する認知行動療法

著者の結論: 

家庭内暴力を振るう男性に対する認知行動療法の有効性に関しては、依然ランダム化比較試験の数が少ないため、結論を出すことはできない。

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背景: 

国の調査では、10%から34%の女性が親密な男性パートナーから身体的暴行を受けていると報告されている。認知行動療法(CBT)またはCBTの要素を含むプログラムは、身体的虐待を行う男性の治療として頻繁に用いられている。参加者は、自発的に登録するか、または裁判所の命令により強制的にCBTに参加している。CBTでは、確立した行動学的手法を用いて行動の変化を追求するだけでなく、思考パターンや信念についても治療対象としている。

目的: 

女性パートナーを身体的に虐待する男性に対するCBTおよびCBTの要素を含むプログラムの有効性を評価すること。

検索方法: 

CENTRAL(コクラン・ライブラリ 2009年、Issue 4)、C2-SPECTR(2006年)、MEDLINE(1950年~2010年1月1日)、EMBASE(1980年~2009年第53週)、CINAHL(1982年~2009年12月)、PsycINFO(1806年~2009年12月第4週)、ERIC(1966年~2009年12月)、Social Care Online(旧CareData)(2010年1月13日)、Sociological Abstracts(1963年~2009年12月)、Criminal Justice Abstracts(2003年)、Bibliography of Nordic Criminology(2010年1月13日)、およびSIGLE(2003年)を検索した。また、本分野の専門家および選択した著者に連絡をとった。

選択基準: 

女性パートナーを身体的に虐待する男性に対するCBTの有効性を評価したランダム化比較試験(RCT)で暴力への影響の測定が含まれる試験

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に選択の可能性について文献を評価し、オンラインデータ抽出票を用いてデータを抽出し、選択した各研究について、バイアスのリスクを評価した。必要な場合は、その後追加された情報を著者に問い合わせた。

主な結果: 

2,343例に関する6件の試験(全て米国)を選択した。CBTと介入なしのコントロール群を比較した4件の試験(参加者1,771例)のメタアナリシスで、暴力の相対リスクは0.86(介入群が優位)で、95%信頼区間(CI)は0.54から1.38と報告された。この結果では効果サイズが小さく信頼区間の幅が広いため、効果に関する明確なエビデンスは示されていない。1件の研究(Wisconsin Study)では、CBT群とプロセス‐精神力動的療法群が比較されており、新たな暴力の相対リスクは1.07であった(95%CI 0.68~1.68)。プロセス‐精神力動的療法はCBTよりもわずかに良好であったが、この成果は明確ではない。残りの1件の小規模研究(64例)では、薬物乱用および家庭内暴力(SADV)に対するCBT併用療法群と12ステップ促進(Twelve-Step Facilitation: TSF)群が比較されていた。参加者58 例に関する解析で、身体的暴力エピソードの頻度減少に対する効果が検討された。効果サイズは0.30(TSFが優位)、95%CIは-0.22から0.81であった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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