小児の下痢の治療を目的とした経口亜鉛補充

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開発途上国では、毎年、何百万人もの小児が重症の下痢に苦しむ。感染症および栄養不良によって引き起こされ、多くの小児が下痢による脱水症で死亡する。経口による水分補給(経口の水分補給用飲料を用いて)が小児の生命を救うことが明らかになっているが、小児が下痢に苦しむ時間の長さには効果がないように思われる。開発途上国の小児は、亜鉛欠乏症を来たしていることが多い。この9千人超の小児を対象にした24件の試験のシステマティック・レビューからは、生後6カ月以上の小児では、亜鉛補充によって下痢の期間が短くなる可能性があることが明らかになった。

著者の結論: 

亜鉛欠乏症の有病割合または中等度の栄養不良の有病割合が高い地域では、亜鉛が生後6カ月以上の小児に利益となる可能性がある。現在のエビデンスは、生後6カ月未満の小児に対する亜鉛補充の使用を支持していない。

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背景: 

開発途上国では、年間200万人前後の小児が下痢で死亡する。急性の下痢に対する亜鉛の補充は、現在、世界保健機関(WHO)およびユニセフによって推奨されている。

目的: 

急性または持続性の下痢の小児に対して治療に用いる経口亜鉛補充を評価すること。

検索方法: 

2012年2月に、Cochrane Infectious Diseases Group Specialized Register、CENTRAL(コクラン・ライブラリ2011年第11号)、MEDLINE、EMBASE、LILACS、CINAHL、mRCTおよび参考文献リストを検索した。 このほか、研究者らに問い合わせを行った。

選択基準: 

赤痢を含む急性または持続性の下痢を来たす生後1カ月~5歳の小児を対象に、経口亜鉛補充とプラセボを比較したランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

両著者ともに、試験の適格性およびバイアスのリスクを評価し、データの抽出と解析を行い、レビューの原稿を書いた。下痢の期間および重症度が主要アウトカムであった。二値アウトカムはリスク比(RR)を用いてまとめ、連続アウトカムは平均値の差(MD)を95%信頼区間(CI)とともに用いてまとめた。固定効果モデルまたはランダム効果モデルを用いたメタアナリシスで適宜データを統合し、異質性を評価した。

エビデンスの質は、GRADE法を用いて評価した。

主な結果: 

小児9128例を登録した24件の試験が選択基準を満たした。データの大半はアジアの亜鉛欠乏のリスクが高い国々のもので、他の地域には当てはまらない場合もある。

急性下痢

急性の下痢を来たしているときに亜鉛を補充することによって、死亡または入院を減らすことができるかどうかを明らかにするには、適切に実施されたRCTからのエビデンスが現時点では十分でない(きわめて質の低いエビデンス)。

生後6カ月以上の小児の急性下痢に対する亜鉛補充は、下痢の期間を10時間前後短縮する可能性があり(MD -10.44時間、95%CI -21.13~0.25;小児2175例、試験6件、質の低いエビデンス)、さらに、おそらく下痢が第7日まで持続する小児の数を減らすことができる(RR 0.73、95%CI 0.61~0.88;小児3865例、試験6件、中等度の質のエビデンス)。 中等度の栄養不良の徴候がある小児では、下痢の期間が27時間前後短縮され、効果がさらに大きいように思われる(MD -26.98時間、95%CI -14.62~-39.34;小児336例、試験3件、質の高いエビデンス)。

逆に、生後6カ月未満の小児のエビデンスからは、下痢の期間の平均値に亜鉛補充の効果が認められず(MD 5.23時間、95%CI -4.00~14.45;小児1334例、試験2件、質の低いエビデンス)、さらに下痢が第7日まで持続する小児の割合が増加する可能性すらある(RR 1.24、95%CI 0.99~1.54;小児1074例、試験1件、中等度の質のエビデンス)ことが示唆される。

重篤な有害事象を報告した試験はないが、急性下痢を来たしているときに亜鉛を補充すると、いずれの年齢グループでも嘔吐が引き起こされる(RR 1.59、95%CI 1.27〜 1.99;小児5189 例、試験 10件、質の高いエビデンス)。

持続性の下痢

持続性の下痢がみられる小児に対する亜鉛補充は、おそらく下痢の期間を16時間前後短縮する(MD -15.84時間、95%CI -25.43~-6.24;小児529例、試験5件、中等度の質のエビデンス)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.31]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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