インスリンを使用していない2型糖尿病患者における自己血糖測定

著者の結論: 

本レビューから、糖尿病罹病期間が1年を超える場合、インスリンを使用していない2型糖尿病患者の血糖コントロールに対する自己血糖測定の総合的な効果は開始後6カ月目までは小さく、12カ月以降はさらに低下すると結論する。また、最良のエビデンスの統合に基づき、SMBGが患者の満足度、全般的な幸福感および全般的な健康関連の生活の質に影響を及ぼすエビデンスはない。SMBGの心理的な影響および糖尿病に特異的な生活の質および幸福感に対する影響のほか、SMBGの低血糖および糖尿病性合併症に対する影響を探究するにはさらに研究が必要である。

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背景: 

自己血糖測定(SMBG)は1型糖尿病患者およびインスリンを使用する2型糖尿病患者に有効であることが明らかにされている。しかし、インスリンを使用していない2型糖尿病患者に対する自己管理ツールとしてのSMBGの有効性については数多く議論されている。

目的: 

インスリンを使用していない2型糖尿病患者におけるSMBGの効果を評価すること。

検索戦略: 

書誌に関する電子データベースおよび進行中の試験のデータベースを複数検索すると共に、回収された論文の参考文献をハンドサーチした(最終検索日:2011年7月7日)。

選択基準: 

インスリンを使用していない2型糖尿病患者を対象とし、SMBGの効果を通常のケア、自己尿糖測定(SMUG)または両方法と比較して検討したランダム化比較試験。主要アウトカムとして糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)値を利用した研究を組み入れに適格とした。

データ収集と分析: 

レビューア2名が組み入れた研究からデータを独立して抽出し、その研究のバイアスのリスクを評価した。研究データを比較し、十分に均一でメタアナリシスのために統合できるかどうかを確認した。主要アウトカムはHbA1c、健康関連の生活の質、幸福感および患者の満足度であった。副次的アウトカムは空腹時血糖値、低血糖エピソード、罹病率、有害作用および医療費であった。

主な結果: 

ランダム化比較試験12件を含め、ランダム化された患者3,259例のアウトカムを評価した。介入期間は6カ月間(26週間)から12カ月間(52週間)の範囲であった。試験9件はSMBGとモニタリングなしの通常ケアを比較したもの、研究1件はSMBGとSMUGを比較したもの、研究1件はSMBGおよびSMUGを通常ケアと比較した3群からなる試験で、研究1件はさほど徹底していないSMBGと徹底したSMBGを対照群と比較した3群からなる試験であった。研究11件中7件はほとんどの指標でバイアスのリスクが低かった。1年以上糖尿病に罹患する患者を含めた研究のメタアナリシスから、6カ月間に上る追跡調査で、統計学的に有意なSMBG誘発性のHbA1c値の低下[-0.3;95%信頼区間(CI)-0.4~-0.1;参加者2,324例、試験9件]が明らかになったが、12カ月目の追跡調査時には総合的に統計学的に有意ではないSMBG誘発性の低下(-0.1;95%CI -0.3~0.04;参加者493例、試験2件)が認められた。幸福感および生活の質に対するSMBGの効果について定性分析を実施したところ、患者の満足度、全般的な幸福感および全般的な健康関連の生活の質に効果はみられなかった。試験2件は自己測定の費用に関する報告であった。うち試験1件は週9回の測定を基準とし、1990年の自己測定の米ドル価格に基づいた自己血糖測定の費用を自己尿糖測定の費用と比較した。自己血糖測定の1年目の総費用は反射率計の購入も含めて自己尿糖測定の費用の12倍以上高かったと結論された[481ドルまたは361ユーロ(2011年11月変換)に対して40ドルまたは30ユーロ(2011年11月変換)]。もう一つの試験では、自己測定の費用と効果に関する完全に経済学的な評価が報告された。試験終了時、介入にかかる費用は標準化された通常のケア(対照群)で89ポンド[104ユーロ(2011年11月変換)]、さほど徹底していない自己測定群で181ポンド[212ユーロ(2011年11月変換)]および徹底した自己測定群では173ポンド[203ユーロ(2011年11月変換)]であった。徹底した自己測定群では追跡調査失敗率が高く、これがあまり徹底していない自己測定群との間で価格に差が出たことの原因であった。 その他のアウトカムに対する効果のデータは少なく、これらの効果は統計学的に有意ではなかった。罹病率に関するデータを報告した研究はなかった。

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