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心血管疾患に対する全粒穀類(シリアル)

背景

全粒の食物とは、未精製の小麦、米、とうもろこし、燕麦(オート)を含む一連の製品のことである。「全粒」という用語には、オートミール(麦のおかゆ)や全粒小麦など粉砕した全粒紛も含まれる。

試験の特性

今回のレビューでは、血中コレステロール値または血圧(心筋梗塞または脳卒中をはじめとする心血管疾患の主な危険因子)に対する全粒穀類の食事の有用性を、精製穀類または通常の食事とを比較し評価した9件のランダム化試験を評価した。エビデンスは2016年8月現在のものである。

主な結果

各食事は12週間以上継続されていたが、ほとんどの試験に何らかの形で方法論の限界が認められ、試験参加者数も少なく、全体的なエビデンスの質は低かった。心血管疾患または心血管イベントによる死亡に対する全粒穀類の効果を報告した試験はなかった。レビューの対象とした全9件の試験が血中コレステロール値または血圧に対する全粒穀類の食事の効果を報告していた。全粒穀類の食事が有利であることを示す、血中コレステロール値または血圧に対する効果はなかった。試験のうち4件が政府系助成団体または独立系の全国助成団体から資金援助を受けていた。残りの試験は全粒穀類に商業的関心がある組織からの全額または一部の資金援助を報告していた。

結論

心血管疾患のリスク低下または、血中コレステロール値または血圧の低下を目的として全粒穀類の食事を摂ることを推奨するには、これまでのランダム化比較試験では十分なエビデンスが得られていない。

訳注

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD005051.pub3】

Citation
Kelly SAM, Hartley L, Loveman E, Colquitt JL, Jones HM, Al-Khudairy L, Clar C, Germanò R, Lunn HR, Frost G, Rees K. Whole grain cereals for the primary or secondary prevention of cardiovascular disease. Cochrane Database of Systematic Reviews 2017, Issue 8. Art. No.: CD005051. DOI: 10.1002/14651858.CD005051.pub3.